普段わたしたちが目にする映像の多くは横長のレイアウトになっていて、比率の違いはあれどテレビでも映画でも動画でも、基本的にこの形態を取っています。
しかしながらスマートフォンとSNSの普及によって、従来とは異なる縦長のレイアウトの動画「縦型動画」が登場し、若年層を中心に人気を博しています。
今回はこの「縦型動画」にスポットを当て、その特徴やメリット、製造業における効果的な活用方法を、製造業・製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社のエルモがご紹介します。
縦型動画とは?
わたしたちが普段目にする映像のほとんどは、16:9や4:3のように横長の比率になっていますが、縦型動画は「9:16」と縦が長い比率の動画を指します。
一般的なカメラは写真や動画を撮ろうと構えた状態が「横型」ですが、スマートフォンは「縦型」になっており、画面を傾けることなく視聴できることがポイントで、基本的にはスマートフォンに特化した動画の形式と言えます。
縦型動画が注目されている4つの理由
縦型動画はここ数年に急速に広がりを見せている新しい動画の形式です。
縦型動画が注目されている理由を3つご紹介します。
その活用例をいくつかご紹介します。
縦型動画が注目されている4つの理由
- メインの情報媒体がPCからスマートフォンへ移行したこと
- SNSによる縦型動画の普及
- ショート動画の増加
- ビジネスにおけるスマートフォンの活用機会向上
メインの情報媒体がPCからスマートフォンへ移行したこと
近年はスマートフォンの高性能化・大型化が進み、PCと比肩するほどの性能を手に入れ始めており、さらに手軽に持ち出せてメッセージのやり取りから情報の検索、写真・動画の撮影まで幅広くこなせるオールラウンダーになったことで、メインの情報媒体がPCからスマートフォンに移行しています。
縦型動画はスマートフォンを傾けずにそのまま視聴できるため、メッセージのやり取りや検索などの操作から連動しやすく、手軽に視聴できることから急速に広がりを見せています。
反面スマートフォン以外の媒体では見づらい比率のため、視聴環境を選ぶ方式でもあります。
SNSによる縦型動画の普及
TikTokをはじめ、Instagram、Facebook、X(旧Twitter)などのSNSはすべて縦型の画面設計になっており、そこで流れる動画も縦型になっています。
SNSのメインユーザーの若年層であること、自分たちで手軽に撮影して投稿できることで、縦型動画という新しいジャンルが徐々に根付いていきました。
また、SNSで集客やプロモーションを行う企業にとっても縦型動画は有効な訴求手段となっているため、製品紹介やサービス紹介などの縦型動画も増えています。
ショート動画の増加
製品やサービスのプロモーションからブランディング、ライフハック・How to情報、レビューまで、現在は情報発信の主体が動画になりました。
世の中に動画があふれたことで、できるだけ短時間でわかりやすくまとまった動画が好まれるようになり、かつて10分だった動画は5分 → 3分と年々短くなっています。
近年はTikTok、Instagram、YouTubeショートなどの30秒~1分程度の短い動画の割合が増え、短い時間で次々スワイプしながら動画を楽しむという需要と縦型動画の組み合わせがマッチしているという背景もあります。
ビジネスにおけるスマートフォンの活用機会向上
ビジネスにおいて、顧客や社内とのやり取り・資料作成・図面作成などの作業はほとんどの場合PCで行われます。
しかしながら社用携帯ではスマートフォンを支給されるため、ビジネスパーソンの多くは電話はもちろん簡単なメールのやり取り、調べ物などはスマートフォンで行うケースもよくあります。
このような事情から一部のプロモーションや、マニュアル・How to、動画社内報などの社内向け情報発信などで縦型動画を活用されるケースも出てきています。
縦型動画のメリット
縦型動画には従来の動画にはない独自のメリットがあります。
3つのポイントにわけてご紹介します。
縦型動画のメリット
- 視聴率を上げやすい
- 本数(コンテンツ数)を確保しやすい
- 若年層への訴求力が高い
視聴率を上げやすい
従来の横型の動画は、スマートフォンで視聴する際に画面を横に傾ける必要がありますが、縦型動画は他の操作からそのまま視聴に移行できるため、より手軽に見ることができるというメリットがあります。
また、1本あたりの時間が短いため気軽にタップされやすく、視聴率を上げやすい傾向にあります。
ただ、縦型動画には伝えたい内容や情報量によって向き不向きがあるため、ターゲットをしっかりと見極める必要があります。
本数(コンテンツ数)を確保しやすい
縦型動画は一般的に30秒~1分程度で完結するものがほとんどです。
同じ動画でも、1本が2分のものより、30秒×4本の方が見てもらいやすいという場面もあるため、縦型動画にすることで本数(コンテンツの数)を確保しやすいこともメリットのひとつです。
よくあるシチューエーションとしては、インタビュー動画の設問ごとに動画をわけたり、申込み方法のステップごとに動画をわけたりする方法があります。
若年層への訴求力が高い
縦型動画はSNSとの親和性が高く、スマートフォンで情報収集することがメインの若年層に対して特に効果的になります。
こう書くとビジネス面では縁が無いと思われがちですが、企業の採用活動においては非常に効果的で、採用コンテンツとして縦型動画を採用されるケースも増えてきています。
また、企業においても社用携帯としてスマートフォンを持っていることがほとんどのため、動画社内報などで縦型動画を活用されるケースもあります。
製造業における縦型動画の活用方法
製造業と縦型動画はあまり相性が良くないように映るかもしれませんが、使い方によっては有効に活用できます。
製造業における効果的な活用方法をいくつかご紹介します。
製造業における縦型動画の活用方法
- 「先輩の声」などの採用コンテンツ
- 申込み方法や操作方法などを解説したマニュアル
- エンドユーザー向けの製品・サービス紹介
- SNSにおけるポストや動画広告
「先輩の声」などの採用コンテンツ
企業においては縦型動画としての活用例が最も多いパターンです。
求職者(学生)への情報発信として「先輩の声」や「先輩社員インタビュー」を実施することはよくあり、だいたい一人あたり3~4つの設問に答えていただきます。
このインタビューを設問ごとに区切って縦型動画にすることで、一人あたり3~4本の動画を作ることができ、YouTubeショートなどで公開すれば、より求職者のハードルを下げて閲覧してもらうことができます。
申込み方法や操作方法などを解説したマニュアル
サービスの申し込み方法やキャンペーンの参加方法、機械やシステムの操作方法など、手順や方法を紹介するマニュアルコンテンツを縦型動画で制作するのもひとつのパターンです。
スマートフォンで直接見ながら操作ができるためアクセス性が良く、比較的簡単な手順の場合やスマートフォンで操作する場合にはおすすめです。
反面、操作が複雑になる場合や注意書き、前提条件が多い場合などは、横型の画面に比べて情報量が少なくなるため、伝えたい情報によって使い分ける必要があります。
エンドユーザー向けの製品・サービス紹介
企業によっては、顧客が複数にわかれるケースがあります。
例えば、直接の取引は流通(商社)や施工会社だが、サポートでエンドユーザーとやり取りするといったケースです。
エンドユーザーに対して「製品の正しい使い方」「トラブルシューティング」などの内容を伝える場合、縦型動画の方が視聴率が高くなるケースもあります。
動画を見てもらうターゲットによりますが、状況によって縦型動画を使い分けることで訴求力を高めることができます。
SNSにおけるポストや動画広告
縦型動画と最も親和性が高いのはSNSです。
自社のSNSアカウントで動画をポストしたり、動画広告として広告出稿する場合は、画面を傾けずとも動画が画面いっぱいに表示されることから、迫力が出て訴求力も高くなります。
製造業においてSNSにどれだけ力をいれるのかという問題もありますが、メインで運用するなら揃えておきたいコンテンツです。
縦型動画を制作する際に気をつけたい3つのポイント
縦型動画は一般的な横型動画と比較すると、用途が限定される特殊な動画です。
使い所をしっかりと見極めないと、かえって逆効果になる可能性もあります。
縦型動画を制作するにあたって気をつけたいポイントを3つまとめました。
- 動画を見るターゲット・シチュエーションを事前に明確にする
- 極力短くまとめる
- 動画の特性と伝えたい内容を吟味する
製造業における縦型動画の活用方法
動画を見るターゲット・シチュエーションを事前に明確にする
縦型動画はスマートフォンでの視聴を前提にしており、逆に言うとPCやモニターでの放映には向かない用途を選ぶ動画コンテンツです。
そのため、動画を見るターゲットや活用するシチュエーションに事前にしっかりと定めておくことが非常に重要です。
動画としての汎用性の高さや使い勝手は良さは従来の横型の動画に軍配が上がります。
流行っているからという理由ではなく、「横型よりも縦型の方がいい」というポイントを見極めて、より訴求力が高い手段として活用していくことが大切です。
極力短くまとめる
縦型動画の多くは30秒~1分程度で、一般的にショート動画と言われます。
スマートフォンを傾けずに視聴できる手軽さが評価されている部分であり、動画の性質上、時間が長くなればなるほど効果が薄くなってしまいます。
伝えたい内容が多く3分・5分と長くなる場合は、大人しく従来の横型動画で制作した方がわかりやすくデバイスも選ばないため、「動画を複数にわける」「内容を短くまとめる」など縦型動画の長所が活きるように調整することが必要です。。
動画の特性と伝えたい内容を吟味する
人間の目は横に並んで配置されているため、視野としては縦方向よりも横方向の方が広くなります。
従来の横型の動画は、このような人間の構造も考慮して作り出されています。
反面、縦型動画は横方向よりも縦方向の面積が多く、スマートフォンの構造にあわせて作り出された方式です。
ブランド訴求などのイメージ的な内容であれば縦型動画であっても大きな問題はありませんが、「操作方法の詳細」や「製品情報」といった情報量の多い動画の場合は、その画面比率上、横型の方が伝えられる情報量が多くなります。
このように伝えたい内容と縦型動画の特性が合っているかを判断し、正しく活用するすることが大切です。
縦型動画のまとめ
縦型動画はスマートフォンとSNSの普及によって作られた若年層向けの動画というイメージがあるかもしれません。
そのイメージは正しいですが、今や多くの人がビジネス・プライベートを問わずスマートフォンの恩恵を受けながら生活しています。
BtoBや製造業の分野であっても、業務の中でスマートフォンがどのように活用されているのか、ターゲットの情報収集手段は何かを考えることによって、従来の横型の動画よりも効果的に活用できるシチュエーションも出てきています。
動画の特性を正しく理解して検討する、もしくはそのような提案を行ってくれる制作会社と組んで、訴求効果を高めていくのがおすすめです。
わたしたち株式会社エルモは、製造業や製薬・医療機器メーカーを中心に500社以上の動画制作実績があります。
販促PRから採用活動、ブランディング、社内の技術継承、安全教育、周年式典にいたるまでBtoB取引におけるあらゆる用途の動画を制作しています。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
伝わる動画制作 編集部
製造業や製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社として、製造業・医療業界ならではの課題と、その解決法としての動画活用術を発信。広報販促、マーケティング、ブランディング、採用、研修・安全教育など、それぞれの領域における動画活用の最新情報やノウハウ、事例などを随時お伝えしています。