株式会社の株主が集まり、会社の経営方針や業績、組織や運営、管理などに関する重要な事項を決定する会議である株主総会。
株主が会社経営に直接関与できる唯一の機会であり、上場企業にとっては年に1度の大きな行事のひとつです。
今回はそんな「株主総会における動画の効果的な活用法や制作のポイント」を製造業・製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社のエルモがご紹介します。
目次
IR・株主総会用動画とは
IR・株主総会用動画は、「株主総会」や「決算説明会」「投資家説明会」などで活用する動画です。
一般的には株主や投資家に対して、企業の進捗状況や財務情報を視覚的かつ具体的に伝えることで、
透明性や情報の公平性を確保し、リーチの拡大とアクセスの容易化を実現します。
総会内で詳しく説明する内容をダイジェストとして紹介したり、企業としてのビジョンやブランドを再認知してもらうために活用したりとさまざまですが、どちらも株主や投資家に自社の活動や企業としての強みを端的に認識していただくことが目的です。
IR・株主総会用動画の種類
IR・株主総会用動画では大きくわけて3つの種類があります。
1)株主総会前の待ち時間に流す動画
2)株主総会中に流す動画
3)株主総会のようすを撮影した動画
1)株主総会前の待ち時間に流す動画
株主総会前の待ち時間に流す動画は、IR・株主総会用動画の中でも最もバリエーションが豊かなものです。
業績のダイジェストや施工事例(導入事例)など、本編に関係のある内容を流すケースもあれば、企業紹介動画や工場紹介動画、ブランドメッセージ動画など株主総会本編とは関係ないものを流すケースもあります。
株主総会前は参加者も比較的リラックスしている状態であるため、そのタイミングで自社の強み、事業の特色、新製品や新サービス、未来へ向けた取り組みなどの情報をざっくりとでも知ってもらうことで、自社に対してよりポジティブな印象を持っていただくという側面が強いのがこの使い方です。
2)株主総会中に流す動画
株主総会中に流す動画は、株主総会本編の内容を補足したり、映像として説明することで参加者に対してより端的な理解を促すために活用されます。
比較的多いパターンは以下の3つです。
・業績のハイライト
・注力分野、大型投資案件(工場や設備など)の紹介
・実績(施工実績、導入事例など)の紹介
上記の内容は動画でないと説明が難しい内容ではありませんが、株主総会は一般的に発表資料を社長や代表役員が読み上げながら説明していくケースが多く、全体的に淡々として冗長な印象を与えます。
そのため「株主に対して確実に伝えたい内容を動画で紹介し、その詳細や補足を人が説明する」という形をとることで、説明にメリハリがつき、参加者の印象に残すことが可能です。
3)株主総会のようすを撮影した動画
株主総会のようすを撮影した動画は、その名の通り株主総会当日の内容を撮影したものです。
上記の1)や2)は「特定の内容を端的にわかりやすく伝えるためのコンテンツ」であったのに対し、この株主総会のようすを撮影した動画は、「株主総会当日の内容を収めた記録映像」という位置づけです。
コロナ禍において、株主や投資家を招いてのリアルな株主総会の開催が難しい場面で採用されることが多かった手法です。
株主総会当日の内容を撮影したものを後日コーポレートサイトにアップロードするオンデマンド形式と、株主総会当日の内容をリアルタイムで配信するストリーミング形式の2つのタイプが存在します。
IR・株主総会用動画を活用する5つのメリット
株主総会や決算説明会、投資家説明会において動画を活用するメリットは複数あります。
いくつか代表的なものをご紹介します。
- 株主や投資家に対して端的でわかりやすい業績報告が可能
- 株主や投資家の注目や意識を集められる
- 企業やブランドの想い・世界観が伝わる
- 事業内容や自社の強みを視覚的に伝えられる
- オンライン株主総会にも対応できる
株主や投資家に対して端的でわかりやすい業績報告が可能
業績報告は、株主総会や決算発表回において避けては通れない必須事項です。
「会社として儲かっているのか」「将来のポジティブな展望があるのか」「潜在的なリスクに対応できるのか」といった内容をわかりやすく伝えて、株主や投資家に安心していただく必要があります。
動画は情報量が多く視覚と聴覚の両方から情報を訴求できるため、短時間でより正確に伝えることに長けています。
文書や資料では伝わりづらい内容や解釈がわかれそうな内容は、映像を活用することで誤解なく確実な情報伝達が可能になります。
株主や投資家の注目や意識を集められる
株主総会や決算発表回に際して、企業側では想定問答集を作り、株主から質問がきた際にスムーズに回答ができるよう時間をかけて準備します。
しかしながら当日どのような質問がくるかはその時になってみないとわかりません。
例えば、工場の新設や設備の追加・刷新などの株主や投資家の関心が高そうな「大型の投資案件」に関して、
・その経緯や背景
・工場や設備の詳細
・今後の展望や投資効果
などを動画としてまとめて株主総会内で放映することで、参加者の関心を意図的に動画の内容に集めることも可能です。
参加者の意識を完全にコントロールすることは不可能ですが、当日の流れをある程度作ることができるため、これがあるだけで準備がスムーズに進みます。
企業やブランドの想い・世界観が伝わる
売上や利益、配当などの具体的な数字や、施工実績や導入事例といった形に残るものは伝えやすく、比較的どんな人にも理解してもらうことが可能です。
しかしながら企業としてのパーパスやビジョン、ミッションといった比較的ふわっとした概念やブランドについては、見る人・読む人によって捉え方に違いが出る場面が多くあります。
特に現在はSGDsやサステナビリティ、ダイバーシティなどの”環境対策”や”働きやすさ”といった要素もステークホルダーに伝える必要が出てきているため、概念的な内容をビジュアル化して伝えられる動画は、企業の情報発信ツールとして非常に効果的に作用します。
事業内容や自社の強みを視覚的に伝えられる
自社の株を購入されている株主や投資家であっても、必ずしも自社の特長や新たな取り組みなどをすべて理解されているとは限りません。
むしろ「株を所有し続けることにメリットがある」と要所要所で感じてもらう必要があります。
動画はその特性上、情報量が豊富で視覚的に伝える力に優れています。
また、業界知識や専門的知識に乏しい方に対しても端的にわかりやすく伝えることができるため、事業内容や自社の強み、将来性の高さなどを短時間で理解してもらうことが可能です。
株主総会のオンライン化、オンデマンド化に対応しやすい
例えば、遠方で実際に足を運ぶことが難しい株主に対しても動画を活用することで、比較的簡単に株主総会の情報を発信することができます。
株主総会のようすをリアルタイムで配信するのか、撮影したデータを後日コーポレートサイトにアップロードするのかは状況や株主の希望によって変わりますが、ひとりでも多くの株主に対してあまり手間や工数をかけずに対応できることもポイントのひとつです。
IR・株主総会用動画を制作する際のポイント
IR・株主総会用動画を制作するには、気を付けておきたいポイントがいくつか存在します。
そのポイントを簡単にご紹介します。
更新しやすい作り(フォーマット)を構築する
IR・株主総会用動画はその性質上、直前に情報の変更や追加が起こりやすいコンテンツです。
企業紹介動画や採用動画などの他のコンテンツと異なり、3ヶ月前・半年前に納品して備えるということができません。
一般的に株主総会の1~2ヶ月前が最も制作のやり取りが多い期間になるため、納期直前に変更になっても対応ができる作りになっていることが必要です。
IR・株主総会用動画の制作においては、あらかじめ更新しやすいフォーマットを構築しておき、できるだけ工数をかけずに更新できる仕組みを作ることが、クライアント様・制作会社の両者にとって望ましい結果に繋がります。
シリーズ化しやすいテーマを選択する
こちらも上記の内容と連動しますが、IR・株主総会用動画の制作においては
「必要な情報を確実に伝えること」「直前の修正も含め短時間で対応できること」が非常に重要で、奇をてらった要素はあまり求められません。
株主総会シーズンが来るたびに”今年はどうしよう?”と考えていると、担当者の負担も大きくなりますし、スケジュールの見通しも不透明になります。
例えば「国内外で最も投資額の大きい案件」や「中期経営計画の◯◯の項目」といったシリーズ化しやすいテーマを選択することが重要です。
年度によってブレにくいテーマを選択しておけば、都度の判断が不要になり事前準備も進めやすくなります。
わかりやすい内容を心がける
IR・株主総会用動画はその都合上、内容が専門的になりがちです。
すべての株主・投資家が自社の事業や専門分野に詳しいわけではないため、専門知識や業界知識に乏しい方でも理解しやすい内容にすることが重要です。
情報を端的にわかりやすく伝えることは、短時間で直感的な理解にもつながるため、結果として見る人の負担を軽減する結果にもつながります。
自社の強みを正しく理解していただき、ポジティブな印象を継続できるコンテンツが理想です。
自社のブランドイメージに沿ったコンテンツにする
動画にはその企業のブランドイメージやキャラクターが反映されます。
ステークホルダーが抱く企業のイメージと、自社が表現するイメージに乖離がありすぎると見る側は違和感を覚えてしまいます。
自社のアイデンティティや価値観を整理し、そのイメージに沿った構成やデザインにしていくことが、見る人の納得感を高めるために重要なことです。
IR・株主総会用動画の制作事例
株主総会向け建設業グループ事業紹介動画
財務情報だけでなく、グループのスケール感、直近の建築事例などをしっかり説明しています。
初年度に基本構成やフォーマットを策定し、毎年株主総会にあわせて更新。5月上旬の決算発表から1ヶ月弱で制作完了できる設計となっています。
アルミ2次合金メーカーの株主向け事業概要動画
「今期で特に大きな投資を行ったトピックス」をテーマに、毎年特に大きな動きがあったテーマを取り上げて株主や投資家に紹介。
株主総会までの短い時間で仕上げる必要があるため、基本的には写真やクライアント様からご提供いただいた動画を活用。
プレスリリースや業界新聞、社内報の記事などをもとに内容をまとめることで、クオリティと制作期間を担保しています。
フォーマットを事前に定めておくことで、毎年新しい情報を効率的に訴求できます。
工業炉の脱炭素化に向けたロードマップ動画
工業炉の脱炭素化に向けた今後のアクションをまとめたロードマップ動画。
2050年の工業炉のカーボンニュートラル化に向けた取り組みを5つのフェイズに整理して説明。
長期的な目標であること、現時点では具体例を出すことができない項目が存在することなどに鑑み、アニメーションを用いてそれぞれのアクションやその流れ、概念などをビジュアル化することで見る人の端的な理解を促しています。
企業のビジョン・強みの訴求に重点を置いた企業案内動画
「ビジョン」「事業・沿革」「強み・風土」「SDGs」「社員メッセージ」の5つのパートで構成。
製品や製造工程の説明的なコンテンツではなく、企業としての考えや想いを伝えることに重点をおいて制作しました。
撮影については4Kシネカメラを採用、質感の高い表現を実現しました。また、ビジョンや想いなどは、グラフィックで補完しています。おもに株主総会、工場見学会、採用活動などで活用いただいています。
IR・株主総会用動画のまとめ
IR・株主総会用動画は来場された株主・投資家の方に対して、情報を適切に伝え自社の理解を深めてもらうために非常に有効なコンテンツです。
動画を使用せず株主総会を実施されている会社もたくさんあり、動画がなくても成り立つものではありますが、「情報をわかりやすく短時間で伝える」という側面において、動画を超える伝達手段はほとんどありません。
「株主や投資家は企業の価値を認めて株を買っている」ことは間違いありませんが、その理解度合いには大きな差があることもまた事実です。
動画を通じて端的でわかりやすい情報発信ができれば、「自社の株を持ち続けるメリット」をより多くの株主・投資家に理解してもらうきっかけに繋がります。
また、株主総会は経営層、管理部門をはじめとして企業の多くの人員が動いており、開催には非常に手間がかかっています。
動画を活用することで、これらの準備の手間を軽減し、当日の進行をよりスムーズにすることも可能であるため、企業側にもメリットの大きなコンテンツです。
わたしたち株式会社エルモは、製造業や製薬・医療機器メーカーを中心に500社以上の動画制作実績があります。
販促PRから採用活動、ブランディング、社内の技術継承、安全教育、周年式典にいたるまでBtoB取引におけるあらゆる用途の動画を制作しています。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
伝わる動画制作 編集部
製造業や製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社として、製造業・医療業界ならではの課題と、その解決法としての動画活用術を発信。広報販促、マーケティング、ブランディング、採用、研修・安全教育など、それぞれの領域における動画活用の最新情報やノウハウ、事例などを随時お伝えしています。