動画はBtoB業界においても、広報・販促、採用、教育・研修、IRなどのさまざま場面で活用されており、その有効性は多くの方が実感されています。
動画をご検討中の方の中でたまにお聞きするのが、上司から「それを作ってどの程度の効果があるの?」と言われること。
実際のところ、動画の効果どのように測ればいいのでしょうか?
そもそも上手く測れるものなのでしょうか?
今回は「BtoB業界における動画の効果測定と、気をつけたいポイント」を製造業・製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社のエルモがご紹介します。
一般的な動画の効果測定指標
まずは一般的なお話からです。
動画を広告として運用する場合は、どの程度の効果が出たかを測定するための指標(KPI)が必要になります。
※KPI:Key Performance Indicator
動画のKPIとして一般的に用いられる指標は主に以下のような項目になります。
●再生回数
●表示回数
●視聴完了率
●ユニーク視聴者数
●クリック数
●お問い合わせ数 など
例えば、YouTubeの動画広告やSNSの動画広告として出稿する場合はこれらの指標をもとに、動画の反響や効果を測定します。
しかしながら、BtoB業界(製造業や製薬・医療機器メーカー)でYouTubeやSNSなどで動画広告を出稿するケースは少なく、業務における実際の使い方も異なります。
そのため上記のようなKPIは、BtoB業界の実態からするとそのまま活用できない指標であることがわかります。
BtoB業界における動画の主な活用方法
それではBtoB業界(製造業や製薬・医療機器メーカー)における動画の活用方法はどのようなものでしょうか。
顧客への説明やプレゼン(対面・Web)で使用
自社の強みや製品の特長、他社との違いなどを端的に説明する。
営業担当個人のスキルや知識によらず説明の質を一定化できることで、ばらつきをなくし平準化につなげられる。
展示会やイベントで使用
自社の展示ブースの前で足を止めてもらうための材料として、また短い時間の中で製品やサービスを効率的に説明し理解してもらうための手段として活用。
代理店のフォローや営業ツールとして提供
代理店に対して自社の製品やサービスをより良く理解してもらう。
代理店の営業ツールとして動画を渡して使ってもらうことで、代理店側の営業負担を減らして自社商材への優先度を上げてもらう。
採用活動で使用
求職者に対して自社の特長や強みをわかりやすく伝え、企業価値を理解してもらう。
特にBtoB企業は一般的な認知度が低いケースが多く、求職者に対して正しく自社の価値を伝えつつ印象に残すことができる。
求職者サイドとしてもより良い企業理解につながる。
マニュアルや教育・研修ツールとして使用
社外向け:「製品・サービスの正しい使い方」や「施工方法」「トラブルシューティング」などのマニュアルとして活用。
社内向け:社員向けに「業務手順」や「設備・機材の使い方」などを伝えるための教育・研修ツールとして活用。
※特に工場においては安全教育ツールとしての利用が多い。
企業ブランディングとして使用
社会における自社の役割や存在価値といった企業としての使命(ビジョン・ミッション)をビジュアル化して伝え、見る人に共感してもらいファンを増やしていく。
近年ではSDGsやカーボンニュートラルなどの影響から、「パーパス(企業の社会的意義)」が取り上げられることが多くなるなど、時代の流れによって打ち出し方が変わってくる。
周年行事・周年イベントで使用
周年イベントでのオープニング動画、企業のこれまでの歩みを振り返る沿革動画、関係者にインタビューを行うメッセージ動画など、企業の節目である周年式典・イベントを盛り上げ、一体感を醸成するためのきっかけとして活用。
ほかにもさまざまな使い方がありますが、主にこのような用途で活用されています
BtoB業界での動画は「業務支援ツール」
BtoBはBtoCと異なり決裁プロセスが複数にわかれており、いわゆる”衝動買い”のようなことはほぼ発生しません。
動画を見てもそれが直ちに購買(契約)につながるわけではなく、あくまで検討のテーブルに上がるだけです。
また、商材も特定の業界でしか使われないものが多いため、BtoCのように一般認知を高めるためにバズらせたり、「再生数100万回達成」のように流行っている感を出す必要性は薄く、またそれを行ってもそもそもの需要が限られているためあまり効果的ではありません。
つまりBtoB業界(製造業や製薬・医療機器メーカー)において、一般的な動画の効果測定指標はあまり意味を持たないのです。
業務支援ツールとしての動画活用
BtoB業界において動画は、各部署の業務をサポートするための「業務支援ツール」としての活用がメインです。
動画の持つ高い伝達力を活かして、ステークホルダー(顧客・株主・投資家・従業員など)への訴求力を高めることで、結果としてそれぞれの担当者の負担を軽減させ効率化に繋げること。
つまり動画は「どれだけ負担軽減(効率化)できたか」を測るのが最も理にかなっていると言えます。
例えば、1回あたり10分かかっていた製品説明が動画だと5分で済むとすると「5分 × 件数」が削減できたことになり、その削減できた時間を人件費計算すると動画の効果がわかります。
例)
●営業が1日3件のアポイントと仮定すると、1日あたり15分・20日間で「5時間」の削減
●営業担当20人いると仮定すると、1日あたり5時間・20日間で「100時間」の削減
●時給が1,500円だと仮定すると、20日間で「15万円」の削減
非常に単純な計算ですが、上記のように試算することができます。
営業に限らず、採用でも教育でも同様の考え方が可能です。
ランニングコストで考えることも指標のひとつ
また、負担軽減(効率化)に加えてランニングコストで考えるという方法もあります。
例えば制作費が200万円の動画を制作したとしましょう。
●年に1度の株主総会でしか使わなかった場合、そのコストは「200万円」
●5年間使ってリニューアルすると仮定すると1回あたりコストは「40万円」
このように使用頻度が少ないと1回あたりのコストはどうしても大きくなります。
それでは年に1度の株主総会以外に、ひと月に3回程度ある来客対応でも使ったと想定します
※来客対応3回×12ヶ月 + 株主総会1回 = 1年で合計37回の使用
●1年間で1回あたりコストは「5.4万円」
●5年間使ってリニューアルすると仮定すると1回あたりコストは「1.08万円」
このように使用頻度を増やすことで1回あたりのコストが大きく下がります。
ランニングコストで考える場合、「使えば使うほどおトク」になるのです。
当初は特定の用途向けに制作するケースがほとんどですが、その用途だけでなく可能な限りさまざまな場面で活用することが「損をしない動画の使い方」とも言えます。
再生数や視聴完了率をチェックした方がいいケースも
基本的にBtoB業界の場合、再生数や視聴完了率といった指標はあまり参考にならないとお伝えしましたが、一部の場面ではこれらの指標をチェックした方がいいケースも存在します。
それは「外部サイト(ポータルサイト)へ出稿する場合」です。
例えば製造業であれば「イプロス製造業」、医療業界であれば「m3.com」などその業界に特化したポータルサイトに広告として出稿する場合は、当初の想定よりも見られないなどの問題があれば、次回出稿時までに動画の構成や内容を見直す必要が出てきます。
広告として出稿することを想定する場合、制作段階で結論を先に伝えることや動画尺を短くする等の対策を取ってより短時間でメリット・ベネフィットを理解してもらえる作りにしておくことが重要になります。
まとめ
BtoB業界(製造業や製薬・医療機器メーカー)における動画はその性質上、効果を正確に測ることが難しいものです。
動画を実際に活用する現場の方々はその有用性を理解しているものの、それを上層部にどのように伝え稟議を通してもらうのが問題で「どの程度の効果が見込めるか数字で出せ」と言われてしまうと途端に難易度が上がってしまいます。
動画はそれ単体で売上に寄与するものではなく、あくまで「業務支援ツール」であることを理解してもらった上で、必要であれば上記の「時間の削減」や「ランニングコスト」を指標を活用して説明いただくと比較的スムーズかと思います。
「動画を作りたいのに上層部から許可が降りない」とお悩みの方はぜひご活用ください。
わたしたち株式会社エルモは、製造業や製薬・医療機器メーカーを中心に500社以上の動画制作実績があります。
販促PRから採用活動、ブランディング、社内の技術継承、安全教育、周年式典にいたるまでBtoB取引におけるあらゆる用途の動画を制作しています。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
伝わる動画制作 編集部
製造業や製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社として、製造業・医療業界ならではの課題と、その解決法としての動画活用術を発信。広報販促、マーケティング、ブランディング、採用、研修・安全教育など、それぞれの領域における動画活用の最新情報やノウハウ、事例などを随時お伝えしています。