工場紹介動画は、主に自社工場の製造工程や製造技術、導入している設備、そこで働く社員の方々、そして企業文化をビジュアルで伝えられるツールです。

製品を企画・設計・開発・製造する製造業の場合、工場は大変大きな資産で、自社にどの程度の製造能力や技術、体制があるかを伝えることは、すなわちメーカーとしての実力をPRできることにほかなりません。

ひとことに工場と言っても、製鉄工場や自動車工場、製薬工場、食品工場などさまざまで、作っているものから衛生レベル、スケール感などが大きく異なるため、魅力的な動画を制作するには専門的な知識と技術が必要となります。

今回は「工場制作動画のメリットや活用シーン、作り方のポイント」などを製造業・製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社のエルモがご紹介します

工場紹介動画を制作するメリット

工場紹介動画には主に以下のようなメリットがあります。
 

工場紹介動画のメリット

  • 製造体制や設備など、メーカーとしての能力を効果的にPRできる
  • 遠方などで来場が難しい方にも工場を紹介できる
  • 普段は見ることができない内容も紹介できる
  • 担当者の負担軽減と訴求力アップを両立できる
  • 教育コストを低減できる

 

製造体制や設備など、メーカーとしての能力を効果的にPRできる

製造する製品はもちろん、それらをどのような体制でどのような設備で作っているのかはじめとして、アピールしたいポイントは複数存在します。

【アピールポイントの例】
生産能力
製造工程
導入している設備
独自の技術やノウハウ
品質管理体制
研究開発体制

上記はあくまで一例ですが、メーカとしての能力を効果的に伝えることが可能になります。

例えばオンリーワンの技術を持ったメーカーであれば、独自の製造体制そのものがアピールポイントになりますし、受託開発・製造がメインのメーカーであれば研究開発体制や保有設備が非常に重要になります。

工場によって内容はそれぞれですが、動画によって顧客が求めている情報をカバーすることができれば、顧客の信頼感や安心感に繋がります。

遠方などで来場が難しい方にも工場を紹介できる

現代のビジネス環境では、地理的な距離や時間的な制約によって、顧客が直接工場を訪問することが難しいケースがあります。

特に海外のお客様になると、物理的な制約が顕著で気軽に来てくださいとも言いづらいのが現状です。
 
しかし工場紹介動画であれば工場に足を運ばずとも、製品の特徴から製造技術や設備、品質管理面などをわかりやすく詳細に説明することが可能になります。

多言語展開も比較的容易のため、営業面での使い勝手もよく、遠方の顧客やパートナーに対して自社の魅力を発信し、ビジネスの可能性を広げるための手段として非常に効果的です。

普段は見ることができない内容も紹介できる

製造現場のリアルな雰囲気を感じるためには、実際に工場に足を運んで説明を聞くのがベストです。

しかしながら、工場案内は安全確保を最優先に見学通路が決まっており、実際に行ってみると入れないエリア・見ることができない場所が意外と多いことも事実です。
 
工場紹介動画では、許可されている範囲で工場の隅々を巡って撮影を行うため、工場見学では見たり入ったりすることが難しい場所でも映し出すことができるのが魅力です。

また、ものによっては装置の中など物理的に撮影ができない箇所や、企業秘密等によって撮影したくてもできない箇所もありますが、そういった部分はイラストやCGなどで補うことによって無理なく情報を発信でき、見る人の理解をさらに促すことが可能になります。
 
工場紹介動画を単体で活用するのももちろん効果的ですが、工場見学の前にまず工場見学動画を見てもらい概要を理解 → その後、実際に工場見学を行って補足説明する という流れで活用されているケースも多く、組み合わせることでより高い相乗効果を発揮できます。

担当者の負担軽減と訴求力アップを両立できる

工場紹介動画の利用用途はさまざまですが、共通するポイントとして「担当者の負担を軽減できる」「訴求力を高められる」ことが挙げられます。

動画はパンフレットやWebサイト等の媒体よりも情報量が圧倒的に豊富で、かつ動きがあるため理解しやすいことが最大の強みです。
 
資料を元に口頭で説明する場合はその担当者の知識やスキルによって伝わりやすさが変わってしまいますが、動画であれば見てもらうだけで「誰に対しても一定の理解を促せる」ため、時間とリソースを節約しつつ訴求力を高めることが可能です。

また、1度制作すれば何度でも繰り返し利用できることから、活用する機会が多ければ多いほどおトクになるコストパーフォーマンスに優れたツールであると言えます。

教育コストを低減できる

お客様や投資家・株主に説明する目的で制作することが多い工場紹介動画ですが、社内の研修でも有効に活用できます。

基本的にメーカーに入社された新入社員の方は、自社製品や製造体制、製造の流れなどに関する一通りの研修を受けます。

これらの説明を動画に置き換えることで、かかる手間を省くことができるだけでなく、より短い時間で理解を促すことが可能になります。

もともと社外の方にわかりやすく説明するために作られている動画になるため、専門知識に乏しい新入社員の方に対しても親和性が高く、概要を学んでもらうためには非常に有効です。

工場紹介動画の活用イメージ

工場紹介動画は工場見学会だけでなく、さまざまな用途に活用することが可能です。
主な活用イメージをご紹介します。

 

  • 商談や来場時の工場説明会
  • オンライン工場見学
  • 自社サイトやYouTubeチャンネルへ掲載
  • 実地監査・リモート監査
  • 採用活動

 

商談や来場時の工場説明会

製造業でよくある話なのが「工場のことをうまく説明できる人が少ない」ということです。

例えば以下のようなパターンです。

営業マンはトークスキルが高く説明する技術は高いものの、工場に関する知識に課題がある

逆に工場の担当者は知識や技術は豊富なものの、トークスキルに課題があってうまく伝わらない
 
工場というのは製造業では重要な拠点ではあるものの、人的な交流が意外と少ないこともあって、営業側と工場側でお互いが何をやっているのかを把握していないケースもよく見られます。

工場紹介動画は上記のような課題をカバーでき、営業側では知識を、工場側では説明のわかりやすさをそれぞれ補うことができるため、正確な情報発信という面で非常に有効に活用できます。

オンライン工場見学

工場紹介動画は遠方のお客様や海外のお客様など、気軽に工場見学に来場できない方に対するオンライン工場見学ツールとしても有効です。

特にコロナのパンデミック以降、ビジネスでもオンラインコミュニケーションの割合が増えており、「まずは現場を見てもらう」という従来の手法が通用しないケースも出てきています。

顧客との距離や言語に関係なく、自社の製造体制や設備、生産体制、技術などを詳しくかつわかりやすく紹介できる工場紹介動画は、少しずつでも着実に変わりつつあるBtoBビジネスにおいて有効な手段となります。

自社サイトやYouTubeチャンネルへ掲載

BtoB・BtoCを問わず自社サイトはなくてはならない存在で、顧客も情報収集のためにコーポレートサイトを必ず確認します。

制作した工場紹介動画をオフラインで運用するだけでなく、自社サイト(コーポレートサイト)やYouTubeチャンネルに掲載すれば、顧客の目に留まる確率も高くなります。
 
動画が自社サイトやYouTube上に掲載されていれば、その動画のURLをメールやメルマガで送ったり、チラシやパンフレットにQRコードを掲載して誘導したり等の施策ができるため、情報共有が容易になることもメリットのひとつです。

また、動画を自社サーバーへアップロードする場合はサーバーの空き容量や負荷などを考慮する必要がありますが、YouTubeにアップロードすることでその問題も解消されます。

YouTubeにアップロードした動画は、自社サイトへ埋め込むのも非常に簡単で有効に活用すれば手間なく情報の厚みを増やすことができます。

実地監査・リモート監査

食品関係や製薬関係など、製造工程やその管理方法が厳しく管理されている分野では、一定期間ごとに取引先や認証機関から監査が入ります。

普段やり取りをしている顧客の担当者と異なり、監査担当者は自社のことをあまり理解されていないケースも多く、一から説明しなければいけないのが手間でもあります。
 
監査が始まる前に工場紹介動画で概要を理解してもらって、その補足を現地で行うようにすることで現場での対応時間が少なく済み、監査に立ち会う自社担当者の負担を軽減することができます。

採用活動

採用活動を成功させるためには、求職者に対して自社が提供する職場環境や文化、仕事の魅力を効果的に伝えることが極めて重要です。

求職者が自分たちがどのような環境で働くのか、どのような仕事をするのかを端的に理解してもらうためにも、動画の持つ情報量の豊富さや伝わりやすさは非常に魅力になります。
 
また工場の採用活動の場合、「大学卒採用」だけでなく「高校卒採用」も実施されている場合が多く、さまざまな求職者とやり取りしなければなりません。

特に高校卒採用は就職活動のタイミングや活動時期が厳密に決まっており、また就職する企業の選び方にも担任の先生や両親の意向が強く反映されるなど、大学卒採用よりも限られた時間でわかりやすく自社(工場)の魅力を伝える必要があります。
 
現在の10代~20代前半の人たちは、小さい頃からYouTubeやX(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどの媒体に慣れ親しんでおり、書籍やWebではなく”動画で物事を調べる”世代でもあるため、動画での情報発信は有効打になり得ます。

工場紹介動画の事例

工場紹介動画の事例を5つご紹介します。

製薬メーカーの工場紹介

会社案内動画を制作する過程で、岡山・群馬・千葉の複数の工場で撮影を実施したこともあり、その撮影データを活用してそれぞれの工場の紹介動画を制作。

それぞれの工場の特徴や製造している製品、完成するまでの流れ(行程)や生産設備、品質管理体制などを紹介。

撮影が難しい箇所についてはイラストやアニメーションを用いてわかりやすくビジュアル化し、情報を補完しています。

オンライン監査も視野に入れた工場紹介動画

薄荷製品を納入した顧客先からの定期監査時に活用すること目的に制作。

監査担当者に対して、工場に入る前に製品製造への理解を深めてもらうために、各製品の製造プロセスや作業内容などを詳しく紹介する製造工程動画をメインとしています。

また、監査以外にも活用ができるように、薄荷製品作りへのこだわりを表現したブランドメッセージ動画、自社の特長を2分程度で紹介するインフォグラフィック動画の3本立てで構成し、営業活動や採用活動などさまざまな場面での利用に対応しています。

工場見学者向けの企業紹介動画

営業用途に特化した工場見学者向けの企業紹介動画

工場見学に来られたお客様に対して、自社の強みをより具体的・専門的に伝えることを目的としたコンテンツです。

工場の生産能力から製造可能な形状や厚み、製造工程や各種設備の紹介、品質管理に対する取り組みなどを盛り込み、お客様に安心感を与え、背中を押すためのツールとして活用されています。

鋼管メーカーさまの採用ブランディング動画

もともとは採用活動用のインタビュー動画を制作し、その過程で撮影した工場や事業所のイメージカットや、ドローン空撮動画も交えて2分ほどのコンセプトムービーもあわせて制作。

会社の社是を誰もがわかりやすい平易なことばに落とし込み、自社のものづくりのこだわりや働く人の情熱・想いといった要素を、ビジュアル化して表現しています。
 

食品メーカー(コーヒー)の工場紹介動画

単なる製造ラインの紹介にならないよう、コーヒー豆が家庭に届くまでの流れをインフォグラフィックスで楽しく表現。

工場直売会や百貨店内の店頭などで広く活用されています。

工場紹介動画の作り方と気をつけたいポイント

工場紹介動画を制作するにあたって、その作り方と気をつけたいポイントをご紹介します。
 

作り方と気をつけたいポイント

  • 工場ならではの迫力やスケール感を演出する
  • 隠された魅力を映し出し、情緒的な価値を演出する
  • 事前の情報共有と早めの準備で撮影をスムーズに進行させる

ステークホルダーが見たい・知りたい情報を提供する

工場紹介動画の制作において重要なポイントは「企業側の独りよがりにならないようにする」ことです。

工場はメーカーにとって特に大きな資産になるため、せっかく動画を作るなら”あれも入れたい” ”これも入れたい” となるケースがよくあります。

それがステークホルダー(お客様や株主、投資家など)が見たい・知りたい情報をマッチしていれば問題ありませんが、そうでない場合は企業側がただ言いたいことを言う独りよがりの状態になってしまう可能性も考えられます。

動画の内容を企画構成するにあたっては、自社として伝えたいことと、ステークホルダーが知りたいことのバランスをうまく取って、お互いがWin-Winになれるコンテンツを目指せるのが理想です。

工場ならではの迫力やスケール感を演出する

工場紹介動画では製造体制や設備、技術、品質管理などの面を総合的に解説して、見る人に信頼性や技術力を伝えることが目的です。

それだけではなく、迫力ある大型機械の動作や製造ラインの壮大なスケール感といった映像を見て感じる「迫力」や「かっこよさ」を映し出すことも非常に重要です。
 
説明・解説調の動画は、被写体を含めて全体の動きや流れがわかるように撮影を行うため、どうしても退屈な画になりがちです。

工場の強みを正確にわかりやすく伝えることは大切ですが、同時にありのまま見せるのではなく、「迫力があってかっこよく見える」ように映すことができれば、見る人により良い印象を与えることができます。

また、ドローンを活用した空撮も非常に有効です。

上空50m~150m程度からの空撮は、被写体(工場)に近く迫力のあるカットが撮りやすいこと、セスナの空撮ではできないさまざまな角度・高さからの撮り方ができることなど、工場の魅力を余すことなく映し出すことが可能です。

隠された魅力を映し出し、情緒的な価値を演出する

工場に撮影に赴くと、場内には「隠された魅力」がたくさんあることに気付かされます。

” 工場内に差し込む光 “、” 製品から立ちのぼる湯気 “、” 溶接時の閃光 “、” 高速で動作するロボットの動き “、” 光に反射してキラキラと輝く粉塵 “など、抽象的ですが人の目を引く印象的なシーンが多く存在します。
 
多くはそれ単体では意味を成さないものの、他のカットと組み合わせることで「情熱」や「想い」「先進さ」などの説明が難しいニュアンスを表現することに役立ちます。

何気ない日常の一幕が、工場をより質感高く上質に映し出すピースとなり、情緒的な価値を演出します。

事前の情報共有と早めの準備で撮影をスムーズに進行させる

「段取り八分 仕事二分」という言葉がありますが、工場撮影において最も重要なものはこの準備になります。

・撮影するカットや当日のタイムスケジュールを明確にして現場に共有し、可否を含めて判断をしてもらう
・撮影内容に合わせて当日の生産計画や人員を調整してもらう
・撮影当日までに清掃等の準備を行ってもらう
 
上記は一例ですが、当日の撮影をどれだけスムーズに進められるか、しっかりと撮れ高を確保できるかはこの事前準備にかかっています。

撮影にあたっては、工場撮影のノウハウが豊富なパートナーを選ぶことが大切になります。

工場撮影をスムーズに進めるためのポイントは以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。

工場撮影をスムーズに進めるために押さえておきたいポイント

工場撮影をスムーズに進めるために押さえておきたいポイント【工場紹介動画】

製造業の動画制作で最も多いのが、製造現場である工場での撮影です。、 製造の流れや各種設備の紹介、品質管理体制や研究開発体制などの紹介がメインになります。 今回は工場撮影をスムーズに進めるための押さえておきたいポイントをご紹介します。

工場紹介動画を制作する場合の費用と制作期間の目安

工場紹介動画を制作するためにはどの程度の費用と時間がかかるのでしょうか。
大まかな費用感と変動しやすいポイントをお伝えします。

制作費用は「100万円~200万円程度」がボリュームゾーン

工場紹介動画の場合、基本的には工場の外観および内部を撮影する実写形式がメインとなります。

費用が大きく変動する要素としては、
・撮影する場所や日数
・イラスト、3DCGの有無

などが考えられます。
 
撮影日数が1日~2日で、撮影が難しい箇所に一部イラストやアイコンなどを使って補足すると仮定すると、制作費用としては「100万円~200万円」程度がボリュームゾーンになるでしょう。

作り方によっては費用を抑えることも可能なため、あらかじめ予算が決まっている場合はその費用感も含めて相談すると、より明確な回答を得ることができます。

※3DCGは制作する点数やクオリティによって費用が大きく変動するため注意が必要です。

制作期間は「2ヶ月~3ヶ月程度」が目安

制作期間は概ね「2ヶ月~3ヶ月」程度と想定してください。

撮影にあたっては事前の準備や清掃などが必要のため、少なくとも半月程度の準備期間が必要です。
 
また工場サイドも月末月初や繁忙期等で、撮影の受け入れが不可能なパターンも存在するため、撮影実施までに時間を要するケースも存在します。

例えば、株主・投資家向けの工場見学会や採用説明会など、使用するタイミングがすでに決まっている場合は、余裕を持って相談されることをおすすめします。

まとめ

工場紹介動画は、自社の生産能力や保有設備、技術、品質管理などの体制を正確にわかりやすく伝えることに役立つコンテンツです。

顧客や株主・投資家には、メーカーとしての能力や体制、より良い製品づくりに投資しているという姿を訴求し、求職者に対しては業務内容や働く環境を端的に表現することで、そこで働く自分自身を具体的にイメージしてもらうなど、さまざまな役割を持っています。
 
工場紹介動画は特に撮影の面で、事前に行わなければいけない準備や根回しが多く事務的な調整が多くなるため、制作にあたってはより専門的な知識やノウハウが必要になります。

他の動画に比べてクライアント担当者の負担も大きくなりがちですので、依頼先を探す際は完成形のクオリティはもとより、工場撮影に関するノウハウや安心して進行を任せられるのかといった観点でも見極めることが重要です。
 
工場紹介動画を制作する場合はぜひご相談ください。

わたしたち株式会社エルモは、製造業や製薬・医療機器メーカーを中心に500社以上の動画制作実績があります。
販促PRから採用活動、ブランディング、社内の技術継承、安全教育、周年式典にいたるまでBtoB取引におけるあらゆる用途の動画を制作しています。
まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

伝わる動画制作 編集部

伝わる動画制作 編集部

製造業や製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社として、製造業・医療業界ならではの課題と、その解決法としての動画活用術を発信。広報販促、マーケティング、ブランディング、採用、研修・安全教育など、それぞれの領域における動画活用の最新情報やノウハウ、事例などを随時お伝えしています。

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