ここ数年で採用活動のやり方は大きく変わりました。
オンライン説明会が標準になり、全国各地の求職者とコンタクトを持てるようになったことで、地域を問わず優秀な方を採用できる可能性は高まりました。
その反面、オンライン説明会という相手の反応が見えにくい中での採用活動に課題を抱えている担当者も多く、そのタイミングで採用動画を検討する方も多くなりました。
実際に採用動画を検討する上で重要なこと、それは「どの程度の効果があるのか」「本当に効果があるのか」ということではないでしょうか。
今回は「採用動画で得られる効果」というテーマで、効果を高めるコツやそのメリット、具体的な活用法などを、製造業・製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社の株式会社エルモがご紹介します。
目次
採用動画で企業が得られる6つのメリット
採用活動、特にBtoB業界においては「自社の認知」「事業や特徴の正しい理解」「働くイメージの醸成」が重要になります。
求職者にとってBtoB業界は普段の生活における接点が少なく、馴染みの薄い業界・業務内容であるため、まずは自社を正しく知ってもらうことが大切です。
企業の魅力を発信するにあたり、採用動画を活用することで得られるメリットを6つご紹介します。
採用動画で企業が得られる6つのメリット
- 自社の強みを明確にわかりやすく伝えられる
- 見る人の印象に残りやすい
- 企業のブランドやアイデンティティなど、抽象的な内容を伝えやすい
- 採用活動における担当者の負担軽減につながる
- 安心感を与え、入社後のミスマッチを軽減できる
- 自社の認知度を高められる
自社の強みを明確にわかりやすく伝えられる
求職者に自社を理解してもらうためには、さまざまな角度から情報を伝える必要があります。
パンフレットやWebサイトなど情報を伝える手段はさまざまありますが、それらと比べて動画の最も大きな特長はその情報量の豊富さです。
1分間の動画にはWebサイト3,600ページ分、およそ180万語分の情報量があるとも言われています。
目(視覚)と耳(聴覚)の両方から訴えかけることができるため、言葉や文章では伝わりづらい内容をわかりやすく表現できること、説明が難しい微妙なニュアンスをビジュアル化して表現できることが最大のメリットです。
見る人の印象に残りやすい
採用動画はさまざまな演出や見せ方ができ、かつ動きがあるため、パンフレットやWebサイトなどの「静」のコンテンツと比べると見る人の印象に残りやすいのが特徴です。
求職者は複数の企業を比較して検討しますし、オンライン説明会が一般的になったことで今までは距離の関係で選択肢になかった企業も「とりあえず聞いてみよう」と気軽に応募できる環境になったため、以前より多くの企業と接触するようになっています。
このような環境で求職者の印象に残すことは簡単ではなく、表現の幅が広い採用動画は見る人の理解を大幅に助けるきっかけとなります。
BtoB企業や製造業などの求職者に対する認知が少ない企業ほど効果的に作用します。
企業のブランドやアイデンティティなど、抽象的な内容を伝えやすい
企業のブランドや企業の理念やミッション、ビジョン、パーパスといった会社のあり方は、多くのステークホルダーに知ってもらいたい内容であり、求職者には共感した上で入社してもらいたい内容でもあります。
しかしながらこれらの要素は、全体的にスケールが大きくかつ抽象的であるため、見る人に共通の認識持ってもらうことが難しいのが現状です。
動画はこれらの抽象的な内容をビジュアル化して表現することに長けており、「自社がどこを目指しているのか」、「何を大切にしているのか」をわかりやすく伝えることが可能です。
求職者も企業理念を企業を選ぶ際のポイントのひとつとして挙げていることから、有効に活用できれば大きな効果が期待できます。
採用活動における担当者の負担軽減につながる
採用活動、特に新卒採用では採用担当者の負担は相当大きくなります。
企業規模や業界によっては総務や人事、IRと人事と兼務している担当者も多く、人事の専任者がいない・少ないために採用活動だけにリソースを避けないという実態もあります。
そのような状況で合同説明会やオンライン説明会で、説明の手間を減らせる動画は担当者の負担軽減にも大きく貢献します。
また、動画を活用することで説明のクオリティを平準化できることもポイントのひとつです。
担当者によって「言う / 言わない」、「伝わりやすい / 伝わりにくい」 といった課題を解決することができます。
安心感を与え、入社後のミスマッチを軽減できる
採用動画においても最も不幸なことは、入社した人が短期間で退職してしまうことです。
「思ったものと違った」いわゆるミスマッチは、入社前に得た情報と入社後の情報のギャップによって生じるもので、入社前の情報がそもそも少なすぎるケースと、実際とは異なる情報が入社前に与えられているケースがあります。
動画は業務内容や職場の雰囲気、働く環境、人間関係、キャリアプランなどの求職者が求める情報を短時間で伝えやすく、選考に進むあるいは入社を決めるための安心感を与えることができます。
動画の持つ豊富な情報量を上手に活用することで、ミスマッチを防ぐ結果につながるのです。
自社の認知度を高められる
動わたしたちが普通に生活する中で見たり聞いたりする企業は全体のほんの一部です。
特にBtoB企業や製造業は、いくら業界内での知名度があってシェアが高かったとしても、求職者にはほとんど認知されていないのが現状です。
業務内容や福利厚生よりもまずは会社を知ってもらうことが最重要です。
求職者が情報収集するナビサイトやYouTubeなどに採用動画があることで、会社を認知してもらったり内容を理解してもらえる確率が高くなります。
実態調査から見る採用動画への反応
株式会社moovyが20代から40代の直近1年間で就職・転職された327名を対象に、採用動画のトレンドに関するアンケートを行った実態調査があります。
そのアンケート結果では見たい採用動画の1位に「仕事紹介」、2位に「1日の流れ」という結果になっています。
※実態調査の詳細についてはこちら
就職活動または転職活動中に、複数の採用動画を見ている
転職経験者は、「1本」という回答が半数でしたが、就活生は2〜3本が最も多い結果となっています。
一方で、5本以上の採用動画を視聴した方もおり、多くの企業を比較・検討していることを示しています。求職者は複数の企業の情報を収集し、自分に最適な職場を見つけるために時間と労力をかけていることが伺えます。
過去見た採用動画は「会社説明・事業紹介」だが、見たい動画は「仕事紹介」が1位
求職者は具体的にどのような仕事をするのかを知りたいというニーズが強く、仕事紹介や1日の流れを示す動画は、日常業務のイメージが湧きやすく、自分がその仕事に適しているかどうかを判断する材料になります。
実際の職場の雰囲気や日常の業務フローを知ることで、自分のライフスタイルや働き方と合うかどうかを具体的にイメージできます。
過見たい採用動画の出演者は「現場の中堅社員〜マネージャー」が1位
求職者は自分の将来像を具体的に描くために、中堅社員やマネージャーのキャリアパス、成長の過程を知りたいと考えます。これにより、企業内での長期的なキャリア形成がイメージしやすくなると考えられます。
採用動画を作る際には、現場社員(特に中堅社員やマネージャー)が担当する具体的なプロジェクトや業務の詳細を紹介することで、企業の専門性や成長環境などをアピールできます。
志望度が上がるのは「親近感」を感じる動画
親近感を感じさせる動画は、求職者が自分と企業の関係性をより身近に感じることができるため、共感を得やすくなります。これは、求職者が実際にその企業で働く自分をイメージしやすくする効果があります。
一方で、コメディ色のある動画は求職者の志望度を下げる傾向にあるため、動画制作においては、親近感を出しながら、コメディ色を抑えることが大事だといえます。
引用:株式会社moovy「採用動画のトレンドに関する実態調査」
採用動画の主な種類
企業紹介・事業紹介
企業紹介動画とは、企業の理念やどのような事業を展開しているかを紹介する動画です。
会社設立の背景や沿革、事業内容や独自の強みなどを端的に伝えることで、企業に対する理解を高め、求職者の共感や応募意欲を高めることができます。
9言語で展開する医療機器メーカーの企業紹介動画
角鋼管・異形管製造メーカー会社案内動画
ビジョンや理念の共有
企業がもつ理念やビジョンは、その企業の存在意義や今後の方向性といった個性を伺い知れる要素のひとつですが、人によって解釈がわかれる可能性があるものです。
理念やビジョンに含まれる要素をビジュアル化して伝えることで、見る人の知識や経験に関係なく理念やビジョンを端的に理解することができます。
鋼管メーカーさまの採用ブランディング動画
アルミ二次合金メーカーのパーパスムービー
先輩の声・業務内容
求職者が最も興味のあるもの、それは「自身がどんな仕事をするのか」ということです。
その企業で働く人(先輩)がどんな仕事を、どんな流れで行っているのか、先輩が何をきかっけとしてその企業に入社したのかを知ることで、入社した自分自身を具体的にイメージすることができます。
これらのインタビュー動画は採用動画の中でも非常にポピュラーなものですが、それだけ人気のある要素であるとも言えます。
プラント設備ができるまでを描いたプロジェクトストーリー動画
鋼管メーカーの社員インタビュー動画
ショート動画
デジタルネイティブの世代にとって、動画はより短い時間で完結する方が望まれます。
近年では30秒~1分程度のショート動画が多くなってきており、短い動画を次々と見ていくほうが負担が少なくなっています。
採用動画の場合、極端に短くすると内容が破綻してしまうものの、上記の先輩インタビューを設問ごとに編集したショート動画にすることで、より気軽に見てもらうことが可能になります。
必須の対策ではないものの、カバーできると効果的です。
より効果的な採用動画を作るためのポイント
採用動画を制作するにあたって、より効果的な採用動画に仕上げるために押さえておきたいポイントをご紹介します。
より効果的な採用動画を作るためのポイント
- 採用課題に合わせて動画の目的や用途を明確にする
- 求職者目線で欲しい情報をリストアップする
- 良い面ばかりでなく、困難な部分も見せる
- 可能な限りSNS対策も実施する
採用課題に合わせて動画の目的や用途を明確にする
制作に進む前に現在の採用課題を洗い出すことが先決です。
母集団が集まらないのか、選考に進まないのか、内定辞退が多いのかなど、採用課題によって対策が異なるため、まずはこれらを洗い出してから動画の目的や用途を決めていくようにするとズレがなくなります。
母集団が集まらないのであれば、自社の特徴や魅力、他社にはない強みなどを押し出していくことが考えられますし、内定辞退が多いのであればどこかでミスマッチが発生している可能性が高いため、その部分を解消していくことが優先という考えとなります。
何となく作ってしまうと誰にも刺さらない内容になってしまうため、事前の準備は大切です。
求職者目線で欲しい情報をリストアップする
採用動画を作る上で、自社が伝えたい情報が求職者の欲しい情報とマッチしていれば何も問題ありませんが、異なっていた場合はミスマッチの原因となります。
求職者が欲しい情報は何なのか、競合他社はどのような情報を発信しているのかを調べた上で、企業側と求職者側がきちんとマッチングする情報提供が重要です。
せっかく動画を作っても伝わらなければ意味がないため、求職者目線に立った情報整理・企画立案を行いましょう。
良い面ばかりでなく、困難な部分も見せる
仕事は楽しいことばかりではなく、辛いこと、困難な部分も多いことは社会人なら誰もが認識していることだと思います。
自社の良いところ、先進的な部分だけを見せてしまうことは求職者の認識を歪めてしまい、入社後のミスマッチにもつながってしまいます。
「やりがい」や「達成感」の裏には、何度も試行錯誤を重ねたり、取引先の無理難題に応えたりと言った、「苦労した」「大変だった」側面も合わせて表現することが重要です。
仕事のリアルを知ってなお応募してくれる方は、自社に対する意欲が高いと認識することができます。
可能な限りSNS対策も実施する
求職者(特に大学生)のメインの情報収集手段はInstagramやTikTok、X(旧Twitter)をはじめとしたSNSです。
例えば、SNSで採用動画のショート版やダイジェスト版をポストし、自社の採用サイトやナビサイトに誘導してフルバージョンを見てもらうといった動きも可能です。
BtoB企業や製造業は業務上SNSを使う機会はほぼないため、1から対応するのは難しいですが、少しでも運用しておくと求職者との距離が近くなります。
また、過去にSNSのアカウントを作って何年も放置されたものが見えてしまうと「適切に運用できない」「だらしない」といったネガティブなイメージを与えてしまうため、今後活用する予定がないものであれば非表示にするか削除するかの対策を行ったほうが無難です。
採用動画を制作するための費用相場と制作費用を抑えるポイント
一言で採用動画といってもその種類はさまざまで、「何をどこまでやるのか」によって費用も大きく変動します。
ここからは採用動画の費用相場と制作費用を抑えるポイントをご紹介します。
採用動画の費用相場
採用動画の費用相場は、概ね150万円~300万円程度が多く、内容によって変動します。
まずは採用課題をどのように解決したいのかを制作会社に相談して、企画提案をもらうことをおすすめします。
動画の費用相場については下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。
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制作費用を抑えるポイント
採用動画を制作するにあたって、その制作費用を抑えるポイントをご紹介します。
事前準備を十分に行って、企画費を減らす
制作会社にもよりますが、採用動画の多くはヒアリングした要件をもとに制作会社側で企画立案を行います。
これは第三者の目線から見るほうがその企業の強みや魅力を客観的に認識できるからで、社内ではなかなか出てこないポイントやメリットを表現可能です。
自社内でこれらの準備が十分に行ったうえで方向性を定めることができれば、企画にかかる費用を一部減らすことが可能です。
補助金や助成金を活用する
国や地方自治体の補助金や助成金を受けることができれば、制作費用の負担が大幅に少なく済みます。
申請に手間がかかること、申請しても必ず通るわけではないことなどを念頭に置いた上で検討してみてください。
動画制作に活用できる補助金や助成金については下記の記事で詳しくまとめていますので、こちらもご覧ください。
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インタビュー動画の場合は自社で撮影することを検討する
インタビュー動画は他の動画に比べて比較的撮影が簡単で、しっかりとルールを守って撮影すればクオリティが安定しやすい動画です。
インタビュー動画が主体の採用動画であれば、企業側で撮影を行い、編集のみ制作会社に依頼すれば費用を抑えることが可能です。
しかしながらインタビューだけでは退屈な印象も与えてしまうため、実際はインタビューと業務シーンを交互に入れながら編集するのが一般的です。
クオリティに直結する部分になるため、使い方を見極めて上手に活用してください。
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効果的なインタビュー動画の作り方と活用方法を解説
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採用動画で得られる効果のまとめ
採用動画は、動画の持つメリットや強みを十二分に発揮できるコンテンツのひとつです。
誰もが知っている企業がさらに人を集めるために活用するのも悪くありませんが、特に一般の知名度が低く、専門性が高い会社であるほど、採用動画は効果的です。
企業としては自社の技術やノウハウを次世代に継承していくことができ、求職者側は普通ではなかなか見付けづらい就職先をゲットすることができるため、Win-Winな結果に繋がります。
また、現在は情報収集のメインが動画に移行していることもあって、テキストを読んでもらえない時代にもなっていることも見過ごせないポイントです。
採用動画がないことがマイナスポイントになってしまわないよう適切に情報発信していきましょう。
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わたしたち株式会社エルモは、製造業や製薬・医療機器メーカーを中心に500社以上の動画制作実績があります。
販促PRから採用活動、ブランディング、社内の技術継承、安全教育、周年式典にいたるまでBtoB取引におけるあらゆる用途の動画を制作しています。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
伝わる動画制作 編集部
製造業や製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社として、製造業・医療業界ならではの課題と、その解決法としての動画活用術を発信。広報販促、マーケティング、ブランディング、採用、研修・安全教育など、それぞれの領域における動画活用の最新情報やノウハウ、事例などを随時お伝えしています。