ビジネス・プライベートを問わずに現在主流となっている動画コンテンツ。
製造業や医療業界においても活用が進んでおり、マーケティング施策のひとつとして動画は重要な役割を持つに至っています。
今回は「製造業のマーケティングにおける動画活用のメリットや効果、ポイント、成功事例」を、製造業・製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社のエルモがご紹介します。
目次
動画マーケティングとは
動画マーケティングとは、動画コンテンツを活用して製品やサービスの認知・関心を高めたり、自社のブランド価値を高めたり、集客・会員登録などのコンバージョンを目的としたマーケティング手法です。
外販を目的として広報・PR活動だけでなく、顧客サポートによる関係強化、ステークホルダーへの情報提供など、さまざまな方法があります。
マーケティングに動画が注目されている理由
広く大衆をターゲットとするコンシューマー向けの業界ではなく、売り先がある程度限定されるBtoBの製造業や医療業界では、チラシやパンフレット、カタログなどの紙媒体や、展示会・学会などでの実物展示が長くマーケティング手法の代表格でした。
しかしながら技術の進歩が進み、各社における性能差が縮まったことで、より自社製品やサービスの強みや価値をわかりやすく伝えられる手段が必要となりました
そこで注目されたのが動画です。
その代表的な理由をご紹介します。
マーケティングに動画が注目されている理由
- 動画の持つ豊富な情報量
- スマートデバイスと動画プラットフォームの普及
- 情報収集のメインストリームが動画に
- 動画広告市場の拡大
動画の持つ豊富な情報量
チラシ・パンフレット・カタログなどの紙媒体やWebサイトと比べ、動画の最も大きな特長はその情報量の豊富さです。
1分間の動画にはWebサイト3,600ページ分、およそ180万語分の情報量があるとも言われています。
さらに目(視覚)と耳(聴覚)の両方から訴えかけることができるため、言葉や文章では伝わりづらい内容をわかりやすく表現できること、説明が難しい微妙なニュアンスをビジュアル化して表現できることが最大のメリットです。
スマートデバイスと動画プラットフォームの普及
今では学生から高齢の方まで幅広く浸透し、生活に欠かせないものとなったスマートフォンをはじめとするスマートデバイス。
ビジネスにおいても、企業の社用携帯のほとんどがスマートフォンに置き換わったり、営業担当には一人1台タブレット端末が支給されたりと、ビジネス・プライベートを問わず当たり前の存在となっています。
画面のサイズが大きく、横に傾けることで横長のレイアウトになるため動画視聴に適しており、手元の端末で手軽に確認できるのが大きなポイントです。
またスマートデバイスの台頭に合わせて、YouTubeやtiktokなどをはじめとした動画プラットフォームが急速に普及したことも要因の一つです。
自社で動画を管理する場合は、サーバー容量や再生プレイヤーをどうするのかなど、システム部門(情シス)と連携しなければならず双方に手間がかかってしまいます。
しかしながらYouTubeなら誰でも簡単にかつ無料で使え、サーバー容量などのネットワークの問題を心配する必要もないため、動画の保管場所として非常に使い勝手の良い環境が整ったことも、企業での動画活用が進んだ要因であると言えます。
情報収集のメインストリームが動画に
動画が持つ豊富な情報量と、それらを十分に活かせる環境が整ったことで、現在は「動画で調べる」時代になっています。
製品やサービスのプロモーションから、”魚のさばき方”のようなHow toやノウハウ、製品のレビューに至るまで、ありとあらゆるものが動画で投稿され、チェックされるようになりました。
紙の説明書やWebサイトは情報を探す自分自身が能動的に読み込む必要がありますが、動画は情報が受動的に入ってくることから、見る人の負担なくより気軽に確認できます。
また、”魚のさばき方”や”機械の操作手順”などの動きがあるものは、「動画と同じ動きを真似すればうまくいく」ため、「文章を読んでそれを自分の中でイメージして実行に移す」よりもロスが少なく、効果を最大化させやすいことも大きなメリットです。
このような特性からビジネスにおいても、広報PR・採用・社内教育や研修などのさまざまな用途で活用されています。
動画広告市場は拡大
上記のような背景もあり、動画を広告として活用する需要もますます増えています。
「サイバーエージェント、2023年国内動画広告の市場調査を発表」によると、動画広告の市場は右型上がりの成長を続けており、2023年の動画広告市場は昨年対比112%の6,253億円。
2024年は7,209億円、2027年には1兆228億円に達する見込みです。
その中でも特に「縦型動画広告」の需要が急増しており、2023年は526億円と昨年対比の156%に到達し、2027年には1,942億円と急速に成長する予測が立てられています。
製造業ではその決済プロセス上、動画広告から購買・導入に結びつくケースはほとんどありませんが、新卒・中途採用では可能性があるため、今後検討される企業も増えていくものと思われます。
参照:サイバーエージェント、2023年国内動画広告の市場調査を発表
関連リンク
縦型動画とは?その特徴やマーケティング上のメリット、製造業における活用を解説
→この記事を読む
製造業で動画マーケティングを行うメリット
製造業は動画マーケティングとの相性が良く、有効に活用すれば効率的に情報発信ができます。
動画マーケティングを行うメリットを4点ご紹介します。
製造業で動画マーケティングを行うメリット
- 技術や仕組みを見える化できる
- 情報量が豊富で人の記憶に残りやすい
- 用途が広く、使い勝手に優れる
- 効果検証がしやすい
技術や仕組みを見える化できる
製造業では自社の強みとなる独自の技術や仕組みがあります。
お客さんに手にとって見てもらったり、写真や動画で撮影して紹介したりできればベストですが、ものによっては難しいケースもあります。
例えば以下のようなケースです。
●内部構造のためそもそも撮影が不可能
●撮影はできるがコア技術等の機密情報の関係で見せられない
●システムのため処理前後の画面しか紹介できるものがない
上記のような場合は、イラストや3DCGを使って見える化することで、より「伝わりやすいカタチ」にすることができ、制約を取り払いつつわかりやすく説明することができます。
また、部品メーカーでよくある「自社の部品が使われた最終製品を見せたいけど、許可が降りないので見せられない」という課題も解決できます。
関連リンク
製造業 こそ活用したいアニメーション動画。独自技術を見える化!
アニメーション動画とは、イラストや文字などに動きをつけた動画のことで、実写と対をなす表現手法としてさまざまなシチュエーションで利用されています。 どちらかと言うとやわらかくポップなイメージがあり、ビジネスにはそぐわないと考える方もいるかもしれませんが、最近は 製造業 の動画制作においても多く使われています。
→この記事を読む
情報量が豊富で人の記憶に残りやすい
「マーケティングに動画が注目されている理由」でもご説明したとおり、1分間の動画にはWebサイト3,600ページ分、およそ180万語分の情報量があるとも言われています。
視覚と聴覚の両方から訴求するため、例えば「口頭で説明すると10分かかるものが動画なら2分で説明できる」といった具合に、短い時間でわかりやすく伝える力にとても秀でています。
伝えたいことはたくさんあるが全部説明すると長くなってしまうというジレンマを解消でき、見る人の負担を減らしつつ、記憶(印象)に残しやすいのがポイントです。
用途が広く、使い勝手に優れる
動画は活用できる用途が広く、使い勝手に優れる点も大きなメリットです。
対面営業やプレゼンテーション、展示会、採用説明会、研修会などで流すことはもちろん、YouTubeチャンネルや自社サイトにアップして広く多くの方に見ていただくことも可能です。
また、カタログやパンフレットなどの紙媒体にQRコードを埋め込んでおき、そこから動画にアクセスできる導線を確保することもできます。
カタログやパンフレットでは製品のラインナップや概要を知ってもらい、詳しい説明や使い方などは動画を見てもらうと言った役割分担も可能のため、動画を組み合わせることで紙面スペースの制約がある紙媒体の訴求力をさらに高められるメリットもあります。
複数の用途で活用することで露出を増やして効率的にアピールできるため、上手に使えば費用対効果の高いコンテンツと言えます。
効果検証がしやすい
チラシやカタログ、マニュアル(取扱説明書)などの紙媒体は渡す人の手元に残り、気軽に読み返せる利点があるものの、実際の効果を確認するのが難しい媒体でもあります。
動画はYouTubeなどにアップすれば、再生数やどこまで視聴したかをデータで確認することができます。
ただ製造業ではコンシューマ向けのように”動画を見て購入する”という動きはほぼないため、プロモーション目的の効果検証という意味では少々物足りなく感じます。
製造業においてこの効果検証が最も効果を発揮するのは「マニュアル」や「教育・研修」などのコンテンツです。
例えば、設備の取り付け方法を作業段階ごとに全10回の動画で説明するマニュアル動画を制作したとします。
このケースだと、”再生された回数が多い””視聴継続率が高い”動画は、それだけ顧客が関心を持って見ている=情報が欲しい・困っていると認識することができます。
顧客が気になるポイントがわかれば個別にフォローしたり、次の製品開発で改良するといったアクションができるため非常に便利です。
関連リンク
動画の効果はどうやって測る? 気をつけたい点と見るべき指標
→この記事を読む
動画マーケティングの成功事例
動画マーケティングにおける成功事例をいくつかご紹介します。
動画マーケティングの成功事例
- 製品・サービス紹介動画の事例
- ブランディング動画の事例
- 企業紹介・会社紹介動画の事例
- 工場紹介・施設紹介動画の事例
製品・サービス紹介動画の事例
メンテナンス業務を効率化する常設点検足場の紹介動画
工業炉の状態がひと目でわかる 工業炉支援システムの紹介動画
ブランディング動画の事例
鋼管メーカーさまの採用ブランディング動画
研究開発の取り組みやビジョン、保有設備などを紹介
企業紹介・会社紹介動画の事例
研究開発の取り組みやビジョン、保有設備などを紹介
高機能ボルトメーカーの企業紹介動画
工場紹介・施設紹介動画の事例
再生医療における開発業務受託(CDO)事業の拠点紹介
製薬メーカーの工場紹介動画
動画でマーケティングを行う上で、押さえておきたいポイント
動画を使ってマーケティングを進める上で、事前に押さえておきたいポイントがいくつかあります。
代表的なものを以下にご紹介します。
動画でマーケティングを行う上で、押さえておきたいポイント
- 余裕を持って予算を確保する
- 制作期間がある程度かかることを理解しておく
- 制作する目的やターゲットを明確にしておく
- 動画の使い方・使用する媒体を定めておく
余裕を持って予算を確保する
動画はその仕様やクオリティによって費用が変動しやすいコンテンツです。
ある程度余裕をもった予算を確保しておくと、動画制作会社側も提案の幅が広がり、「何をどこまでやるのか」の判断がやりやすくなります。
使える予算が決まっている場合は、その金額を具体的に動画制作会社に伝えることで、その金額内で提案をしてもらえます。
予算情報が曖昧だと自社と制作会社で認識のズレが発生する可能性があるため、あらかじめ明らかにしておくことがおすすめです。
関連リンク
動画制作にはいくらかかる?料金の内訳と種類ごとの費用相場を徹底解説
企業や団体のプロモーションやリクルート、社員教育などに幅広く活用される動画コンテンツ。 検討を進める上でネックになるのが「どの程度の費用がかかるのか」 今回は「動画制作費用の相場と失敗しない外注依頼の方法」を詳しくご紹介します。
→この記事を読む
制作期間がある程度かかることを理解しておく
動画の制作は内容によるものの、概ね2~3ヶ月程度の時間がかかります。
期末の締め、展示会出展、採用説明会などの納品タイミングが決まっている場合は、逆算して早めに動き出すことをおすすめします。
ものによっては短時間で制作できるケースもありますが、内容やクオリティをある程度妥協する必要が出てくるため費用対効果が悪くなってしまいます。
スケジュールに余裕があれば不測の事態にも対応しやすくなるため、余裕を持って制作に入っていくようにしましょう。
制作する目的やターゲットを明確にしておく
動画に限らず、制作にあたっては「誰に対して」「どんな効果(アクション)を期待するか」を明確にしておくことが非常に重要です。
例えば、専門知識を持った顧客に対するプロユースのものか、専門知識を持たない株主や投資家、求職者に対するものかでは、内容がまったく異なってきます。
上記は少々大げさな話ですが、事前に目的やターゲットが定まっていればその対象に最適化された構成を作ることができます。
逆にここが曖昧だと、全体的に薄味で誰にも刺さらないコンテンツになってしまう可能性もあります。
動画制作会社に相談する場合は、この内容を忘れず伝えるようにしましょう。
動画の使い方・使用する媒体を定めておく
動画制作のきっかけは大抵ひとつのきっかけから始まります。
例)展示会で流したい、採用説明会で流したいなど
展示会を目的に作ったものを展示会で流すことはもちろん正解なのですが、用途が営業向けの場合、「対面営業で見せる」「製品サイトに載せる」といった展示会以外の活用も視野に入ってきます。
当初の予定以外の用途に使っても使い勝手が変わらなければ問題ありませんが、例えば「カタログ内にQRコードを掲載して誘導したい」となった場合は、動画はカテゴリごとに短く整理されている方が使い勝手が良くなります。
制作段階で上記のような方法がある程度想定できていれば、それらを踏まえた構成を組むことが可能で、その後の展開も楽になります。
制作時にあれこれと想定するのは大変ですが、可能性として考えておくとより効率的ですし、将来の展開に関して適切にアドバイスを貰える制作会社を選ぶことがおすすめです。
動画マーケティングのまとめ
製造業だから広報やPRはいらないというのは過去の話で、業態を問わず自社の価値を正しくわかりやすく伝えることは重要です。
売り先が決まっていて営業が必要ない企業であっても、採用活動では求職者から認知されず応募が来ないという課題を抱えていたりします。
動画マーケティングというと何となくコンシューマー向けのイメージがあるかもしれませんが、「難しい内容をわかりやすく伝える」「見えないものを見える化する」ということを考えると、内容が専門的なBtoB、しいては製造業との相性が非常に良いことがわかります。
広報PR、ブランディング、採用、教育研修、IRなど、幅広い用途に活用できる動画は、うまく使いこなせると頼もしい相棒となります。
動画を活用して製造業のマーケティングを効果的・効率的に進めていきましょう。
わたしたち株式会社エルモは、製造業や製薬・医療機器メーカーを中心に500社以上の動画制作実績があります。
販促PRから採用活動、ブランディング、社内の技術継承、安全教育、周年式典にいたるまでBtoB取引におけるあらゆる用途の動画を制作しています。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
伝わる動画制作 編集部
製造業や製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社として、製造業・医療業界ならではの課題と、その解決法としての動画活用術を発信。広報販促、マーケティング、ブランディング、採用、研修・安全教育など、それぞれの領域における動画活用の最新情報やノウハウ、事例などを随時お伝えしています。