SDGsや脱炭素化、ダイバーシティなど、近年は業界や業態を問わずこれらのキーワードを目にする機会がますます増えており、ステークホルダーに対する企業の情報発信において、これらの要素はとても重要になっています。
今回は「企業のSDGsやダイバーシティに関する取り組みを伝えるための動画の活用法」について製造業・製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社のエルモがご紹介します。
企業におけるビジネス以外の取り組みの重要性と注目される背景
企業活動においては、製品やサービスを展開して売上を上げ、その利益を従業員への給与や株主・投資家へ還元することが、ビジネスの基本とされてきました。
したがって企業の情報発信は、自社の製品やサービスのPR、製造体制や設備の紹介、アフターフォローやメンテナンス情報の発信、求職者向けの会社紹介などが主な発信情報でした。
また、ビジネスの面以外では「人」「社会」「環境」への取り組みとして、人材教育や人道支援、地域振興・コミュニティの活性化、環境対策などのトピックスを紹介するケースもあり、以前はこれらを「CSR(企業の社会的責任)」や「サステナビリティ(持続可能性)」といった切り口で紹介していました。
現在は上記に加えて「SDGs」や「脱炭素化」「ダイバーシティ&インクルージョン」などのさまざまな指標や基準が登場したこともあって、企業としての取り組みをより幅広く・正確に・わかりやすく伝えることが求めらています。
特に上場企業はこの傾向が顕著で、今まで以上に多方面に気を配らなければならない状況となっています。
SDGs
SDGsとは「Sustainable Development Goals」、日本語で“持続可能な開発目標”という意味です。
2016年から2030年の15年間で達成すべき「世界共通の目標」として、貧困・健康と衛生・エネルギー・環境・平和など17種類の目標が提示され、国連に加盟している全193カ国によって採択された国際指標の一つです。
企業活動をさまざまな方向から切り分け、その中で自社が取り組んでいる内容や貢献できるものを伝えていくものです。
コーポレートサイトや統合報告書等のレポート、動画など、多数の媒体を使って周知を行われているのが現状です。
サステナビリティ
サステナビリティ(sustainability)とは、「sustain(持続する)」と「able(〜できる)」が組み合わされた言葉で、日本語では「持続可能性」と表現されます。
森林の保存や海洋汚染対策などを含む「環境保護」、貧富格差やジェンダー、人種差別などのない平等な社会環境づくりを目指す「社会開発」、労働環境を整備しパフォーマンスを高める「経済発展」の3つの要素から構成されています。
意味としてはSDGsと似ていますが、サステナビリティは持続可能な発展を目指すという考え方で、その具体的な目標を示したのがSDGsです。
サステナビリティは後述するCSRの実質的な後継概念であると言えるため、「企業の取り組み」という切り口では企業規模に関係なくより多く活用されている概念と言えます
脱炭素化・カーボンニュートラル
こちらは2020年10月、政府より「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」カーボンニュートラルの宣言が出されて以降、産業界(特に自動車業界)を中心に注目が集まった概念です。
小売や流通といった業界よりも、ものづくりを生業とする製造業で特に当事者意識が高く、材料の選定から製造プロセス・製造設備に至るまで製品ができるまでのCO2排出をいかに少なくできるか。
そしてその取り組みをしっかりとステークホルダーに伝えられるかが求められています。
サステナビリティやSDGsにも含まれる概念ではあるものの、製造業には特に影響が大きいゆえに、これ単体で対策をアピールされるケースも増えています
CSR
CSRとは、「Corporate Social Responsibility」の略で、日本語では「企業の社会的責任」を意味します。
企業の経済活動において、自社の利益追求や法令遵守だけでなく、ステークホルダー(顧客、取引先、従業員、投資家など)に配慮し信頼を得るための取り組みを指しています。
一時期、企業としての取り組みの切り口はこのCSRで括られることがほとんどでしたが、サステナビリティやSDGsなどの新たな概念が登場したこと、これらの活動の対象が企業だけでなく国家や個人まで広がったことなどんも要因となって、社外へのアピールという観点では少しずつ数が少なくなっています。
ダイバーシティ&インクルージョン
ダイバーシティは、日本語で「多様性」を意味し、グローバル化や顧客ニーズの多様化といった市場変化に対応するために性別や年齢、国籍、文化、価値観など、さまざまなバックグラウンドを持つ人材を活用することで新たな価値を創造・提供するという概念です。
インクルージョンは「受容」という意味で、従業員がお互いを認め合いながら一体化を目指していく組織のあり方を指しています。
ダイバーシティという考え方は2000年以降に徐々に広がったものでありますが、ここ数年のLGBTQや女性活躍、働き方改革などの社会の仕組みを大きく変える流れができたこと。
健康経営やえるぼし、くるみんなどの働き方に関する国の認証が整ってきたこともあって、単体でアピールされるケースも増えています。
取り組みを周知するメリット
SDGsやダイバーシティ等の取り組みを発信することは、企業としての社会的責任(CSR)を果たすだけでなく、投資家やビジネスパートナーからの評価を高める手段になります。
製造業の場合、”いくら素晴らしい製品やサービスを作っていても、その結果として環境に悪影響では意味がない”という認識が醸成されていることから、「環境負荷を抑えたモノづくり」を価値として伝えることで、関係者に安心感を与え、背中を押してもらうきかっけとして機能します。
また、企業が行う社会貢献活動や環境保護への取り組みは、求職者をはじめとしたビジネス以外のステークホルダーへの訴求力が高い内容です。
ビジネス上の強みを把握することはもちろん、これらの取り組みの周知を通じて、企業をより身近に感じてもらいそして共感してもらう結果につなげることが可能です。
「企業のビジョンや価値観が広く認知され、ブランド力が向上する」「企業と地域社会との絆、信頼関係を構築する」といった効果が期待できます。
このようにSDGsやダイバーシティ等の取り組みを周知することは、
ビジネス面では「自社を選んでもらう積極的な理由や安心感」を
ビジネス面以外では「取り組みに共感してもらうことによる親近感や信頼感」を
与えることに繋がるのが大きなメリットです。
取り組みの効果的な伝え方
SDGsやダイバーシティ等の取り組みを効果的に伝えるためには、押さえておきたいポイントが2つあります。
取り組みの実施状況や内容、タイミングなどによって最適な伝え方が異なるためです。
ここからは取り組みを効果的に伝えるためのポイントをご紹介します。
実施済(実績のある)取り組みの場合
実績のある取り組みを伝える際には、その成果を具体的に示すことが効果的です。
●工場や倉庫の屋根に太陽光パネルを取り付けた
●製造ラインの中に新たにCO2を回収できる装置を組み込んだ
●近隣住民向けの工場見学や安全対策説明を行った
●女性管理職の割合を◯◯%以上に高めた
これらは実際に“行われた”ものであり、写真や動画として記録しておくことで誰もがひと目で内容を理解することができます。
コンテンツ化するにしても撮影した写真や動画を編集すればいいため、比較的シンプルで手間や費用を抑えて制作することが可能です。
従来は上記のような実績ベースでの情報発信が多かったため、それほど困ることはありませんでした。
今後実施予定の取り組みの場合
近年になって必要性が高まってきたのがこちらのパターンです。
SDGsやカーボンニュートラルなどの指標は「中長期」にわたって展開されるものが多く、すぐに実績として写真や動画などの目に見える形でお披露目できるものではありません。
むしろ状況的にはこれから2030年、2050年の未来に向けて「どのように取り組むか」のロードマップを示すものであり、現段階ではまだスタートしていない(もしくは部分的にスタートした)ものが多く「実績がないものをどう理解してもらうか」が課題になってきます。
現在これらの環境・社会への取り組みは、国内・国外を問わずステークホルダーの関心度が高い内容となっており、企業イメージやブランドを形成する重要な要素になりつつあります。
伝えるべき内容の粒度に合わせて、より具体的に解説する場合はアニメーションを、大枠の方向性やビジョンを説明する場合は実写ベースのブランディングメッセージを、といった具合に最適な表現を選択する必要があります。
制作実績
方向性やビジョンを共有する
具体的な計画ではなく「自社がどのような存在でありたいか」「社会にどんな役割を果たすか」など、企業としての大きな方向性やビジョンを示すパターン。
この場合はシナリオとなるメッセージを中心に、そのメッセージを連想させる映像素材や撮影データで構成する実写動画となります。
●アルミニウム2次合金メーカーのブランディングメッセージ
アルミホイールやアルミサッシなどのアルミ製品を溶かし、不純物を除去して製品化する「アルミニウム二次合金」企業のメッセージ動画
何度でも繰り返し使えるアルミニウムの特性やリサイクルを核とした事業内容など、ビジネスそのものの環境負荷が低く、その上で高品質なものづくりを進めていることをビジュアル化して伝えています。
具体的な実績を共有する
新しい設備の追加や既存設備の改修、イベントの実施など、目に見える形で実績がわかる場合は、撮影した写真や動画をベースにコンテンツ化します。他の手法に比べてあまり時間をかけずに、予算を抑えながら制作できることが特長です。
●自社のさまざまな取り組みを紹介
地域の子ども向けのイベント開催、体験・学習プログラムの提供、フードバンク支援、植樹活動、学校建設支援など、自社のさまざまな社会貢献活動や環境への取り組みを紹介。
写真をメインに構成することで素材が集めやすく、制作面でも工数や費用を抑えて行うことが可能です。また、更新の際も柔軟に対応しやすいというメリットもあります。
未来のロードマップを共有する
具体的な道のりは決まっているものの、まだ実績がない、もしくはスタートしたばかりで紹介できるほどの情報がないケースでは、その具体的な道のりをイラストやグラフィックでビジュアル化してステークホルダーに伝えます。
イラストやグラフィックはその特性上、ある程度内容をデフォルメしつつも全体像を見える化することに長けており、具体化しつつも曖昧に表現できる唯一無二の手法です。どうしても中長期的な計画になりやすいカーボンニュートラルにおいては非常に適した表現手法と言えます。
●工業炉の脱炭素化に向けたロードマップ動画
「工業炉の脱炭素化」を目標に、2050年に向けた具体的な取り組みや流れを紹介するロードマップ動画です。
全体を5つのフェイズにわけ、各フェイズごとの具体的な取り組みを紹介。全編をイラストで構成し、それぞれのアクションを抽象的ながらも見える化することによって、文書や口頭説明では難しい直感的な理解を促しています。
このように伝えたい内容によって、最適な構成や表現方法は異なります。
特に実績共有は、素材があれば比較的作りやすく手間もかからないため、これから始めるという場合は、まずこの実績紹介から取り組むのがおすすめです。
企業のSDGsやタイバーシティの取り組みを伝える動画の活用法のまとめ
企業がSDGsやダイバーシティの取り組みを動画で伝えることは、視聴者に対して効果的なメッセージを発信するための重要な手段です。
動画コンテンツは、多くの情報を圧縮して分かりやすく視覚化できるため、教育的な側面でも強力です。
また、具体的な目標へのアプローチや解決策を示すことで、見る人に企業の環境対策や多様性などに対する新たな視点を提供する役割を果たします。
さらに、未来に向けた明確なビジョンや計画を共有することで、ステークホルダーからの支持を得やすくなります。
このように、統一感のあるメッセージを持った動画制作は、企業にとってコミュニケーション戦略を強化する効果的な方法として位置づけられています。
わたしたち株式会社エルモは、製造業や製薬・医療機器メーカーを中心に500社以上の動画制作実績があります。
販促PRから採用活動、ブランディング、社内の技術継承、安全教育、周年式典にいたるまでBtoB取引におけるあらゆる用途の動画を制作しています。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
伝わる動画制作 編集部
製造業や製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社として、製造業・医療業界ならではの課題と、その解決法としての動画活用術を発信。広報販促、マーケティング、ブランディング、採用、研修・安全教育など、それぞれの領域における動画活用の最新情報やノウハウ、事例などを随時お伝えしています。