YouTubeやNetflix、AmazonPrimeVideoなどの台頭によって、コンシューマーにおける娯楽や情報発信のメイン手段となって久しい動画。
ビジネスの現場でも「自社製品の紹介や拡販」「ノウハウの提供」「技術の継承」などのさまざまな目的で活用されています。
ですが医療業界はその商習慣上、できることが限定的で他業界に比べてのも独特な使い方をされています。
今回は「製薬会社や医療料機器メーカーにおける効果的な動画の活用方法」を製造業・製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社のエルモがご紹介します。
この記事で解決できること
- 医療業界と他業界の情報発信の違い
- 医療動画のターゲット、主な活用法
- 製薬・医療機器メーカーでの動画活用のポイント
目次
他業界にはない医療業界ならではの特長
例えば製造業であれば新しい製品やサービスが完成した場合、その「特長や強み」、「従来製品との比較」、「競合製品との違い」といった情報をまとめて、可能な限り自社製品が魅力的に認識されるような広報・販促活動を行います。
その際、誇大広告とは言わないまでも、見る人にインパクトを与えたり、注目を引いたりできるようにさまざまな企画や表現を行って世の中に露出させることで、認知度を高めていきます。
しかしながら医療業界では、薬機法をはじめとした厳格な法規制が存在し、情報発信においては、厚生労働省などの規制やガイドラインに従う必要があります。
他の業界が当たり前に行っている手法がNGになるケースも多く、医療業界独自の情報発信手法が求められます。
「限られた選択肢の中でどう効果的に情報を訴求するか」
患者向け、医療従事者向け、社員向けとターゲットはさまざまですが、有効な手段として活用が進んでいるのが「動画による情報発信」です。
医療動画の主なターゲット
製薬会社・医療機器メーカーが動画を制作する際のターゲットは大きくわけて3種類に分けられます。
- 患者
- 医療従事者
- 他の医療系企業・メーカー
- 社員・従業員
1. 患者
患者向けの場合、例えばこれから行う治療の特徴や流れを伝えたり、治療に必要な機器の使い方を解説したりなど、専門知識を持たない方に対してできるだけわかりやすく・正確に・確実に伝える必要がある際に活用されます。
病院やクリニックから直接患者に説明してもらうケースや、家に帰って患者自身に見てもらうケースなど、いくつかのパターンが考えられます。
2. 医療従事者
医療従事者の場合、「先生」や「看護師」「技師」などの医療現場で働く方を対象とした情報発信で、最も制作する本数が多いパターンです。
医療業界であっても、新しい製品や技術はターゲットの方々に知ってもらって、使ってもらって、実感してもらって、はじめて意味をなします。
例えば医師に対して「新たな薬を特徴やエビデンスを知ってもらう」、技師に対して「新しい医療機器の特徴や使い方を知ってもらう」など、認知や理解を高めるための手段として動画を活用します。
学会での情報共有や意見収集から、個別の商談まで幅広い用途で活用されます。
3. 他の医療系企業・メーカー
医療業界では、製品の研究開発や製造で培ったノウハウを活かして、製品の製造や研究、試験などを受託するケースも少なくありません。
その場合、クライアントに対して自社が持つノウハウや実績、試験設備/製造設備などを伝え、十分な体制があることをアピールする必要があります。
工場や研究所の紹介を通じて自社の魅力や強みを端的に訴求します。
4. 社員・従業員
社員・従業員の場合、社内に向けた情報発信や社員研修、インナーブランディング等が主な目的となります。
こちらは医療業界に関係なく、どの業界でも行われる共通の用途です。
自社の取り組みや今後の目指す方向を働く方に正しく認識してもらうこと、製品やサービスの知識を正しく効率的にインプットしてもらうために、情報量が豊富な動画は有効に活用されています。
製薬会社・医療機器メーカーにおける動画の主な活用法
ここからは製薬会社・医療機器メーカーにおいて動画がどのように活用されているのかを実例を交えてお伝えします。
- 製品情報の周知
- 手技・手順の紹介
- 知識やノウハウの共有
- 受託製造・研究・試験の周知
- 患者教育の向上
- 外部監査への対応
製品情報の周知
医療機器や医薬品の製品情報を動画で伝えることで、短時間で効率的な情報伝達が可能になります。
「製品の特徴」から「実際の使用方法」、「メンテナンス方法」、「メリット」などを見る人に直感的にわかりやすく伝えることが可能です。
導入後のイメージを想起させることによってハードルを下げ、新たな機会の創出につなげます。
手技・手順の紹介
医療現場での手技や手順などのノウハウを動画で記録し、教育コンテンツとして活用。
複雑な動きであっても正確に記録することができるため、医療従事者が最新の手技や手順を効果的に学習するためのサポートツールとして、臨床現場での実践に活かすことができます。
知識やノウハウの共有
ランチョンセミナーや勉強会などを撮影し、特定の症例・症状に対する治療法やノウハウを動画コンテンツとして共有します。
当日参加できなかった関係者へのフォローツールとして活用できるほか、自社オウンドメディアのコンテンツとしても有効利用できます。
テーマを決めやすく継続性も高いため、定期的な情報発信手段として使いやすいことも大きなメリットです。
受託製造・研究・試験の周知
自社製品の研究開発や製造で得た知見や製造設備を活かして、「受託製造」「受託研究」「受託試験」を行うメーカーも少なくありません。
自社にどのようなノウハウや設備があるのかを端的に説明し、これらを検討するクライアントに向けた認知や理解を高めます。
患者教育の向上
治療方法や術前術後のポイントなどを動画で伝えることによって、患者が自身の病状や治療について理解しやすくなります。
患者の多くは専門知識に乏しく、わかりやすく正確な情報発信が必要になるため、動画によって患者が治療に積極的に参加し、自己管理を行うための助けとすることが可能となります。
外部監査への対応
医薬原体や原料などを製造している企業では、定期的に納入先からの外部監査が行われるため、その対策として自社の製造体制や設備を網羅的に紹介する動画を制作するケースがあります。
実地監査の前に動画で予習していただくことで、監査の円滑な進行と担当者の負担軽減にも貢献しています。
製薬会社・医療機器メーカーにおける制作事例
医療材料製品のマニュアル動画
切断された神経をつなぐ手術に使用する医療材料製品を適切に使用していただくための動画。
実際の手技を明確に映すことが難しいことから、全編をイラストで構成し、正しい縫合方法をアニメーションで紹介しています。
学会展示で使用されるほか、イラストレーションをパンフレットやウェブサイトでも活用されています。
ドクター向けの教育・解説コンテンツ
2名のドクターによる帯状疱疹・水痘に関する症例とその見分け方を解説する教育・解説コンテンツ。
医療関係者向けの大手情報共有サイトに2週間おきに計4本掲載し、ドクターへの情報発信と内容に関するアンケート、そして自社診断キットの紹介が行われました。
細胞濃縮洗浄システム製品紹介動画
細胞濃縮洗浄システムの紹介動画。製品の紹介と実際の使用方法を含めたプロモーション兼マニュアル動画として制作しました。
実写だけでは理解しにくい複雑な仕組みの説明には、グラフィックを書き起こし、アニメーションで表現しています。
展示会やWEBなどで展開し、幅広くご活用されています。
人工透析の新たな治療法の紹介
医学会でのドクターによるセミナーを撮影し、10分のダイジェスト版に編集。
さらに冒頭部はこの新たな治療法の特長を端的に理解できる1分のコンセプトムービーに。製品そのものではなく、治療方法をつかった臨床例にフォーカスし、医師や病院の経営層、技師への関心を高める構成としました。
衛生材料の適切な使用方法を実写で紹介するマニュアル動画
消毒剤・洗剤などを扱う衛生材料メーカーが、おもに食品メーカー・工場向けに展開している汚物処理キット商品の使用マニュアルとして企画・制作しました。
汚物処理は突発的に起こるものであるため、使用者は事前に研修を受けることで対処できるようにします。
また、本商品の導入にあたって、購買担当者の理解向上とこういったコンテンツを準備していることで競合製品との差別化をはかり優位に販促展開を行うというねらいがあります。
また、マニュアル動画を初めて制作する際は、画面デザイン・構成要素・撮影パターンをあらかじめフォーマット化することで、以降の同様の製品マニュアル動画を作成するときに、短期間でスムーズに制作進行することができます。
製薬メーカーの工場紹介動画
製薬メーカーの工場紹介
会社案内動画を制作する過程で、岡山・群馬・千葉の複数の工場で撮影を実施したこともあり、その撮影データを活用してそれぞれの工場の紹介動画を制作。
それぞれの工場の特徴や製造している製品、完成するまでの流れ(行程)や生産設備、品質管理体制などを紹介。
撮影が難しい箇所についてはイラストやアニメーションを用いてわかりやすくビジュアル化し、情報を補完しています。
医療業界の情報発信に動画が有効な理由
医療業界では法規制やガイドラインによって、長く複雑な情報をまとめてわかりやすく伝える、いわゆる「端的な説明や表現」ができない場面が多く、全体的に情報量が多くなりがちです。
このようなケースでは、他の媒体よりも動画が強みを活かしやすく、主に以下のようなメリットが存在します。
情報量が豊富で伝わりやすい
1分間の動画の情報量は一般的なWebページ3600ページ分とも言われており、情報量に非常に優れています。
また見る人の記憶に大きな影響を及ぼす「視覚」「聴覚」「言語」のすべての面を網羅しており、紙媒体やWebページなどと比較すると情報の定着率が高いことが大きな特長です。
内容が複雑になりやすい医療業界では、この見て・聞いて理解できる動画の豊富な情報量は、物事の正確で素早い理解にとても役立ちます。
短時間で訴求できる
情報量が豊富なことも相まって、他の媒体と比べて短い時間で訴求できることも大きなポイントです。
また、単純に短時間で理解できるだけでなく、文書のように能動的に読む必要があるものと違って受動的に情報が入ってくることから、見る人の負担が少なく済むことも特長のひとつです。
使い勝手に優れる
動画配信プラットフォームやスマートフォン・タブレットなどのデバイスの進化によって、時間や場所を問わずに気軽に閲覧することができます。
また、企業サイトや製品サイトをはじめとしたWebサイト、チラシやカタログ等の紙媒体などとの親和性も高く、相乗効果を発揮しやすいこともメリットです。
医療動画に関するまとめ
医療業界ではその性質上、情報発信にも高い信頼性と正確性が求められます。
また法規制やガイドラインの関係もあり、「特定の物事を意訳してわかりやすく伝える」、「見る人の注目や関心を集める表現を用いる」ことが難しくなっていて、さまざまな制約の中で発信しなければいけない複雑な立場にあります。
情報発信の媒体(手段)はさまざまな種類がありますが、情報量が豊富で短い時間でも伝わる動画の特長は、正確性や誤解を与えないことを何よりも優先しなければならない医療業界において非常に相性が良く、「長くなる」「複雑になる」というデメリットを払拭しやすいのが大きなポイントです。
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わたしたち株式会社エルモは、製造業や製薬・医療機器メーカーを中心に500社以上の動画制作実績があります。
販促PRから採用活動、ブランディング、社内の技術継承、安全教育、周年式典にいたるまでBtoB取引におけるあらゆる用途の動画を制作しています。
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この記事の監修者
伝わる動画制作 編集部
製造業や製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社として、製造業・医療業界ならではの課題と、その解決法としての動画活用術を発信。広報販促、マーケティング、ブランディング、採用、研修・安全教育など、それぞれの領域における動画活用の最新情報やノウハウ、事例などを随時お伝えしています。