企業にとって大きな節目になるのが「周年」行事。
企業や団体が自らの歴史や成長を振り返り、その成果を祝う重要な手段であるとともに、社内外の関係者に対して今までの感謝を述べたり、今後の展望や目標を共有するための大切な場です。
今回は「周年式典における動画活用のポイントとその事例」を製造業・製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社のエルモがご紹介します。
目次
周年行事(式典)の目的と代表的な取り組み
周年行事(式典)は、企業や団体がこれまでの成果を振り返り、今後の展望を共有する重要な機会です。
この行事には、感謝の気持ちを伝えることや、社内外の関係者との絆を深める役割があり、その目的やターゲットによって企業の歴史や文化を紹介するものから、未来のビジョンを示すものまで多岐にわたります。
周年行事(式典)の目的・狙い
周年行事は会社の節目に実施されますが、主に以下の内容を目的としています。
- ステークホルダー(お客様や取引先、株主、社員など)に対し、現在までの謝意を述べる
- 今後の展望や目標など、将来の見通しを共有する
- 会社の歴史や文化を共有する
また、周年行事は大きく「社外向け」と「社内向け」にわけられます。
両者で目的がそれほど大きく変わるわけではありませんが、
「社外向け」であれば、今後の見通しをはじめとしたビジネス色が強調され、
「社内向け」であれば、企業文化の共有をはじめとしたモチベーションアップの場として活用されます。
企業にとって、周年行事は重要なコミュニケーションの場として機能し、関係者間の結束を高めるための貴重な機会です。
また、動画を活用することで、これらの目的を視覚的に伝えることができ、視聴者に強い印象を与えることができます。
周年行事の代表的な取り組み
取り組みについてもその節目にもよりますが、多くの場合以下のような取り組みを実施しています。
●周年式典・イベント
●周年誌
●周年動画
●周年サイト
●記念品・ノベルティ
一般的にはホテルなどの会場を借りて行う「周年式典(イベント)」やそこでお渡しする「記念品やノベルティ」「周年誌」などが多く、例えば50周年や100周年などの大きな節目のタイミングでは「周年動画」や「周年サイト」も合わせて制作するというパターンもあります。
しかしながら周年行事をやる/やらない、イベントを行う/行わない、制作物を作る/作らないの判断は企業ごと、そして節目に合わせて変わるため正解はありません。
コロナ禍では周年イベントは延期・中止され、その代わりに周年動画を制作するというケースも目立ちました。
周年式典(記念)用動画の主な活用シーン
周年式典(記念)用動画は社内外を問わず、いろいろなシーンで活用することが可能です。
式典やイベントで放映する
名前の通り、最も多い活用パターンが周年式典やイベントで放映することです。
「式典のオープニングで流す」ケースと、「会食時や社長あいさつ前などの式典中に流す」ケースの2パターンがあります。
どちらかと言うとオープニングで流す用途が多いものの、式典の内容や進行によっても異なるため特に正解はありません。
オープニングで流す場合は、あらかじめ来場者の意識を惹きつけてから映像につなげるために、本編前にカウントダウンを盛り込むケースも少なくありません。
来場者への記念品として配布する
最近ではやや少なくなりましたが、来場された方に対する記念品のひとつとして、DVDやブルーレイディスクでお渡しするケースもあります。
社員やOBを集めた社内向けの式典の場合は、「これまでの会社の歩みを形にする」という意味や「ご家族にも見ていただく」といった目的で配布される場合があります。
制作する部数が少ない場合はコスト的にもそれほど大きな負担にならないため、比較的小規模な式典の場合は選択肢の一つになり得ます。
自社サイトやYouTubeチャンネルに掲載する
コーポレートサイトや周年特設サイト(100周年など)、自社のYouTubeチャンネルに掲載することも周年式典(記念)用動画の主な活用シーンのひとつです。
特に自社サイトは企業に関する情報の中で最もよく閲覧される媒体でもあるため、ステークホルダー(顧客・取引先・株主・投資家・求職者など)の属性によらず、より多くの方に対して情報を訴求できることが大きなポイントです。
式典で流した上で後日サイト上に掲載するケースもあれば、式典を社員向けに動画を社外向けとターゲットをわけて運用されるケースもあり、企業によってさまざまです。
周年行事(式典)のコンテンツで動画を活用するメリット
それでは周年行事のコンテンツにおいて、動画を活用することのメリットをいくつかご紹介します。
準備期間・制作期間が比較的短い
一般的に周年行事は準備に非常に時間がかかります。
特に周年誌は各種資料の収集から整理、原稿作成、制作と完成まで2~3年かかるケースも多く、担当者の負担が大きくなります。
周年動画は内容にもよりますが制作期間が3~6ヶ月ほどと比較的短く、準備しやすいのがポイントのひとつです。
周年のタイミングは、新拠点の追加や新たな設備投資といった大きなトピックスが合わせて進行していることも多く、制作期間が短いことでこれらの状況を直前まで反映しやすいといったメリットも存在します。
幅広い役割を持たせられる
周年行事の取り組みはさまざまですが、代表的な周年誌は基本的にその会社の今までの歩みや出来事を正確に記録し、後世に引き継いでいくのが目的です。
周年動画はその周年のテーマに合わせて「将来のビジョン共有」「これまでの歩み・沿革」「関係者が語る◯◯」のように、題材を変えることで幅広い役割を持たせられることが大きなポイントです。
イベントでの利用はもちろんのこと、コーポレートサイトに掲載したり、自社のYoutubeチャンネルやSNSにアップしたりとさまざまな使い方ができます。
周年行事で求められる内容に応じて臨機応変に対応できる点が動画の強みです。
メッセージ性が高く、短時間で訴求できる
動画と他の手段の最も大きな違いはその「情報量」です。
目で見る情報、耳で聞く情報の双方で発信する動画は、その他の手段と比較して圧倒的な情報量を誇るため、見る人に短い時間でかつ簡単に内容を理解してもらうことが可能になります。
周年誌をパラパラとめくり、思い出に浸りながら見るものとても情緒的で素晴らしい体験ですが、すべての人が同じことができるとは限りません。
特に社外(お客様や取引先、株主など)に対しては、できるだけ簡潔にわかりやすく訴求できることが求められるため、このような用途では動画の強みを十二分に発揮できます。
主な周年式典(記念)用動画の種類
一言に周年動画と言っても、前述の通り周年行事のテーマによってその役割はさまざまです。
製造業においてよく活用される周年式典(記念)用動画のパターンご紹介します。
自社のブランドやビジョン、パーパスを伝える
1つ目は「ブランドメッセージ」「パーパスムービー」と呼ばれるパターン。
自社の企業理念や社是、中期経営計画の目標、今後◯◯年のビジョンと言ったその企業の「根幹となる価値観」や「中長期的な取り組み」を可視化したものです。
”自分たちはどのような存在なのか”、”社会でどのような役割を担うのか”、”未来に向けて何を行っていくのか” などを自社らしさを交えてわかりやすいメッセージに噛み砕き、ビジュアル化することによって堅苦しくなりがちな将来の姿を印象的に描くことができます。
最近では企業の社会的な存在意義を意味する「パーパス」が取り上げられることが多くなり、自社のビジネスやSDGs・カーボンニュートラル、ダイバーシティなどを総合的に伝えていくという流れがメジャーになりつつあります。
<参考>
企業のこれまでの歩みや経緯を伝える
2つ目は「沿革ムービー」と呼ばれるパターン。
いわゆる周年動画で最も多いもので企業の創業(設立)からこれまでの歩みを辿りながら、代表的なトピックスを紹介していくというもので、
企業によっては会社全体の歴史ではなく「製品」や「サービス」に絞って紹介するパターンもあり、その企業の事業や個性が表現される部分でもあります。
またこの沿革ムービーが多く選ばれる理由として、周年行事の流れも関係しています。
基本的に周年行事が動き出したタイミングで周年誌を作るために資料集めが始まり、さまざまな情報がストックされてきます。
これらの資料集め作業は沿革ムービーが始動する前から動き出していることがほとんどで、集めた資料の情報をそのまま流用できることから「手間なく作ることができるコンテンツ」として人気があります。
<参考>
社員が語る◯◯・関係者が語る◯◯
3つ目は「インタビュー」で構成するパターン。
例えば「自社を一言で例えると◯◯」のように複数の社員が特定のテーマで会社のことを語ってもらったり、関係者(取引先やお客様)にインタビューをして外部の目線から「◯◯はこんな会社!」と語ってもらう形式の2種類があります。
前者は社内向けの周年行事、後者は社外向けの周年行事でよく採用されます。
複数人にインタビューをするという都合上、日程や予定のすり合わせ・撮影場所の問題など準備が大変な部分もありますが、社員や関係者の生の声を届けられることは非常にリアリティがあり話題にもなりやすいため、有効なコンテンツと言えます。
しかしながら肖像権等の問題もありコーポレートサイトやYoutube上で放映するには向かないため、活用方法には注意する必要があります。
<参考>
周年式典(記念)用動画の事例5選
創業100周年を記念して制作した、企業ブランディング動画
創業100周年を記念して、企業理念や社風などをヒアリングし、それらを象徴するメッセージを、自社を強みを印象的に伝える映像で表現しました。
周年式典はもちろん採用業務でも活用されています。
鋼管メーカーの70周年記念動画
自社の経営陣の皆様のインタビューに加えて、取引先様にもインタビュー取材を実施。
イベントの際での盛り上がりの醸成はもちろん、貴重な記録集として重要な企業資産となりました。新入社員教育でも活用されています。
産業機器メーカー式典オープニング動画
コンセプト編と沿革篇の2本組として構成。コンセプト編は旗艦工場での実写撮影を中心に制作。
歴史の重み、製造している立旋盤の巨大さや精密感をテーマに、イメージシーンとドローン撮影を軸に重厚感のある印象的な動画となりました。
建設機械メーカーの式典用動画
ショベルカー等の建設機械のアタッチメントを製作するメーカーの周年動画。
内容はこれまでの歩み(沿革)を紹介するオーソドックスなものですが、デザインを新聞記事風な作りにすることで、まるで紙面を読み進めるようにテンポよくトピックスを紹介しています。
定番の内容であるために飽きやすさが懸念される沿革動画ですが、表現を変えることで異なるアプローチに成功しています。
100年の歩みを振り返る沿革動画
大手建設会社の100周年記念動画。
自社の100年の歩みを振り返り、絶え間ない技術力の向上と強い想いによって、さまざまな困難な案件を乗り越えてきた企業の歴史や姿勢を表現しています。
周年式典(記念)用動画の制作の流れ
周年式典(記念)用動画の制作は、いくつかのステップを経て行われます。
各段階でしっかりとした計画を立てることで、効果的な動画を仕上げることが可能です。
以下にその流れを簡潔に説明します。
ヒアリング・企画構成
まずは周年式典(記念)用動画の要件を詳しくヒアリングし、制作の方向性を固めていきます。
制作の目的やターゲット、予算、スケジュールなどを明確にしつつ、動画の大まかなイメージやアイデアを洗い出して落とし込んでいきます。
シナリオ・コンテ作成
この段階では、事前に明確にした目的やターゲットに基づいて、内容や構成を練り上げていきます。
シナリオは、ストーリーやセリフを文章で表現したものであり、それらを画像やイラストで視覚化したものが絵コンテです。
動画の内容をより具体化し、関係者のイメージのすり合わせを行っていき、イメージと異なる部分があればこの段階で修正していきます。
動画撮影・素材収集
次に、シナリオや絵コンテに沿って映像を撮影したり、必要な素材の収集を行っていきます。
撮影にあたっては、撮影場所や内容、必要なものなどを事前に「撮影リスト」として共有します。
内容によって事前準備が必要なケースも多いため、余裕を持って進めることが大切です。
また素材収集に関しても、ものによってはテレビ局や特定の団体などに依頼や申請が必要な場合もあるため注意が必要です。
編集作業
編集では、撮影した動画や収集した素材(画像など)をつなぎ合わせて、動画として動かしていくプロセスです。
多くの場合、シナリオや絵コンテを大まかに形にする「仮編集」、細かい編集を行い仕上げていく「本編集」の2段階で進めます。
音楽・SE・ナレーション
編集で映像の内容や動きが確定したら、次は音楽(BGM)や効果音(SE)、ナレーションの収録を行い、作品に命を吹き込んでいきます。
多くの場合このプロセスはMAスタジオで作業を行い、映像の内容や雰囲気に合わせて最適な音源や効果音を選択し、調整していきます。
収録した音源を編集済みの動画に組み合わせて書き出せば、晴れて周年式典(記念)用動画の完成となります。
周年式典(記念)用動画の制作で失敗しないポイント
周年式典(記念)用動画の制作においては、成功を収めるために押さえておくべきポイントがいくつかあります。
制作する目的とターゲットを明確にする
周年式典(記念)用動画を制作するにおいて、事前に制作する目的とターゲットを明確にすることが非常に重要です。
特に社内向け(社員やOB)か社外向け(顧客や取引先)のどちらをターゲットにするかによって、伝えるべき内容が大きく変わってきます。
社内向けの周年式典(記念)用動画の場合、企業の内情を含めた具体的な内容を盛り込むケースも多く、式典後にコーポレートサイトに掲載しようとしても内容的に難しいという事態が発生します。
式典での使用はもちろん、その後の活用も見据えて制作にかかることで、よりスムーズにコンテンツを活用することが可能となります。
素材を十分に用意する
周年式典(記念)用動画の制作には数多くの素材が必要になります。
企業紹介や製品紹介などのコンテンツでは、市販の動画素材・画像素材を活用して代用したり、表現が難しい部分をカバーしたりすることができますが、周年式典(記念)用動画はその企業の歩みにフォーカスする都合上、企業の取り組みを紹介する素材が欠かせません。
シナリオの尺に対して素材が少ない場合、1つの画面あたりの秒数が長くなってしまい、テンポの遅いスライドショーのような印象になってしまいます。
年代や事業、内容などに合わせて可能な限りたくさんの素材を集めていただき、余裕を持って選定できるようになっていれば動画のクオリティを高めやすくなります。
余裕を持ってスタートさせる
周年式典(記念)用動画は周年誌や式典に比べて、比較的短い時間で制作できることをお伝えしましたが、上記でも記載した通り素材集めや関係各所への申請・許諾などに時間がかかる可能性があります。
これらの状況を踏まえると、できるだけ余裕を持ってスタートさせることをおすすめします。
スケジュールに余裕があれば不測の事態があっても対応できますが、式典まであと2ヶ月や3ヶ月しかない状態でスタートすると、何かあった際のリカバリーが難しくなります。
周年誌や式典の準備と合わせて進行できるのが最も理想的です。
周年式典(記念)用動画のまとめ
周年行事は企業にとっては一大イベントで、そこに関わる人数も多く準備にも多くの時間がかかります。
単純に◯◯年続けてきたことを祝うだけではなく、その日を節目・きっかけとして「次の目標に社員全員で向かっていく」「お客様との関係性や絆を改めて確認する」などの目的で実施されることから、それを達成できるコンテンツが求められます。
周年動画は数ある周年行事コンテンツの中でもさまざまな用途やターゲットに対して活用しやすく、制作期間も比較的短く済むのが大きなメリットです。
「周年行事の担当を任されたけど何から始めたらいいかわからない」「上層部から今までにはないものをやれと言われている」などのお悩みがありましたら、ぜひ一度周年動画を検討されてはいかがでしょうか。
わたしたち株式会社エルモは、製造業や製薬・医療機器メーカーを中心に500社以上の動画制作実績があります。
販促PRから採用活動、ブランディング、社内の技術継承、安全教育、周年式典にいたるまでBtoB取引におけるあらゆる用途の動画を制作しています。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
伝わる動画制作 編集部
製造業や製薬、医療機器メーカーに特化した動画制作会社として、製造業・医療業界ならではの課題と、その解決法としての動画活用術を発信。広報販促、マーケティング、ブランディング、採用、研修・安全教育など、それぞれの領域における動画活用の最新情報やノウハウ、事例などを随時お伝えしています。